
近代以降の教育思想
自由な人間を育てることと、教育者が働きかけること
教育学専門課程
講師:KIKI
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本講の流れ:三つの問題を追う
近代以降の教育思想では、教育を広く提供する方法、子どもの発達を尊重する教育、知識と経験の結びつきが、それぞれの時代の社会状況に応じて論じられてきた。
問題
本講で考える関係
人はどう形成されるか
経験・習慣・発達と、教育者の働きかけ
自由はどう育つか
指導・規律・環境構成と、自律的な判断
知識はどう生きるか
教科の体系と、生活・活動・社会参加
本講の構成
普遍的教育と人間形成の構想
→子どもの発達と自由
→教授の体系化
→経験・探究・民主主義
→対話と社会変革。
思想家について学ぶ際は、人物名と主要概念を、その概念が答えようとした問題と結びつけて理解する。
本講は教育思想史の導入として、思想家の概念を教育場面に即して理解することを中心に据える。人物名と概念を覚えるだけで終わらせず、教授・経験・制度がそれぞれどのような教育問題に答えようとしたのかを説明する。学習動機、認知、発達、学習評価等については、教育心理学の各理論・研究に即して別途学ぶ。
学ぶ順序:Ⅰ 普遍的教育と人間形成 → Ⅱ 発達と自由 → Ⅲ 教授の体系化と新教育 → Ⅳ 経験・探究・民主主義 → Ⅴ 対話と社会変革・現代への接続 → 自分で説明する。
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思想の位置をつかむ年表
現在地|見通しと思想の位置
思想家
主な著作・時期
本講での中心問題
コメニウス
『大教授学』『世界図絵』・17世紀
教育の普遍化と組織化
ロック
『教育に関する考察』1693年
経験・習慣・自己統制
ルソー
『エミール』1762年
発達に即した教育
カント
『教育学』1803年刊
強制と自由、自律
コンドルセ
公教育に関する報告・法案1792年
自由と平等を支える公教育
ペスタロッチ
『ゲルトルートはいかにその子を教うるか』1801年
生活と全人的な形成
ヘルバルト
『一般教育学』1806年
教授と道徳的人間形成
デューイ
『学校と社会』1899年ほか
経験・知識・民主主義
フレイレ
『被抑圧者の教育学』・20世紀
対話・抑圧・主体形成
この配列は、教育をめぐる問題の展開を捉えるための整理である。同時代にも複数の教育観が存在し、それぞれの思想は後の時代にも異なる形で参照されている。
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Ⅰ 普遍的教育と人間形成
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コメニウス:すべての人の教育を組織する
コメニウス(1592〜1670)は、宗教対立と戦争の時代に、教育を通じた人間と社会の改善を構想した。『大教授学』では、教育を広く行き渡らせるため、学校の組織と教授方法を結びつけた。
三つの「すべて」
すべての人に(omnes):貧富や身分、男女の違いを超えて教育を開く。
すべての事柄を(omnia):あらゆる専門知識を暗記するのでなく、生活に重要な事柄の基礎・理由・目的を理解する。
全面的に・徹底して(omnino):表面的な知識にとどめず、理解・判断・行為に関わる人間全体の形成を目指す。「あらゆる側面から」とも訳される。
汎知と汎教育
汎知(Pansophia)は、知を関連づけ、人間と世界を全体として理解する構想。汎教育(Pampaedia)は、その教育をすべての人の生涯へ広げる構想である。三つの語は『汎教育論』の理念を表す。
近代学校につながる構想
『大教授学』は、年齢段階別の学校、共通の教材、学年ごとの課題、同じ時期の開始・進級を構想した。『世界図絵』は、図と名称を対応させ、感覚から理解へ進む学びを支えた。
解説メモ|構想と制度化を区別する
普遍的教育の理念を、段階・教材・集団への教授として具体化した点が重要である。ただし、国家による義務教育制度の完成とは区別する。また、構想にはキリスト教的な目的や、上級段階の対象を限定する当時の条件も含まれていた。
出典:Comenius『大教授学』第9・10・27・32章、『汎教育論』。三つの語の訳は、原典を踏まえた授業用の整理。
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現在地|Ⅰ 普遍的教育と人間形成

ロック:習慣の形成を通して理性的に行動する
ロック(John Locke)の経験論は、知識が経験を通して形成されることを重視し、生得的な観念を前提とする説明を退けた。教育においては、周囲の模範や生活環境、日常の習慣が人間の形成に関わると考える。
当時の紳士の教育を主な対象とした『教育に関する考察』では、知識を得ることとともに、欲望を調整し、自分の判断によって行動することが重視された。
解説メモ|習慣と自律はどう関係するか
日常生活で適切な判断や行動を繰り返す経験は、大人の指示を待つ状態から、自分で必要な行動を選ぶことへ進む基盤になり得る。ただし、賞罰を受けるかどうかだけを基準に行動する習慣がつくと、自分で理由を考える機会は狭くなる。ロックの教育論では、どのような環境や習慣が理性的な自己統制を支えるのかを捉えることが要点となる。
出典:Locke, Some Thoughts Concerning Education。约翰·洛克
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現在地|Ⅰ 普遍的教育と人間形成

Ⅱ 発達と自由
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ルソー:子どもの発達から、社会の期待を問い直す
ルソー(Jean-Jacques Rousseau)は『エミール』(1762年)で、身分や職業にふさわしい人間を先に定める教育を問い直し、まず人間として生きるための教育を考えた。大人が望む知識や振る舞いを急いで教えることに対し、子ども自身の発達と経験を教育の出発点に置いた。
「子どもの発見」とは、子どもの固有の感じ方や学ぶ時期を重視する思想史上の表現である。過去の社会に子どもの認識や養育がなかったという意味ではない。
本源的善性
人間の自然なあり方を善として捉え、社会関係のなかでそれがどのように変化するかを考える立場である。子どもが実際にとる行動をすべて無条件に正しいとみなすこととは区別する。
子どもの固有性
子どもには発達の段階に応じた感じ方や活動、理解の仕方があり、教育はそれらを踏まえて組み立てられる必要がある。
解説メモ|現代の教育問題への接続
子どもの落ち着きのなさや失敗を考える際には、本人の性質とともに、課題の難しさや活動の意味、周囲からの期待との関係を見ることができる。ルソーの視点は、大人に早く近づけることを求める教育を、子どもの発達や経験から問い直す手がかりとなる。早期教育や能力競争についても、子どもにどのような時間や遊び、経験が必要かを考えられる。
出典:Rousseau, Émile, 第1・2編。Project Gutenberg
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現在地|Ⅱ 発達と自由

三つの教育:発達・人・事物の関係
現在地|Ⅱ 発達と自由
三つの教育
内容
教育上の課題
自然の教育
身体や諸能力の内的な発達
発達の状態を踏まえる
人間の教育
他者から受ける教えや働きかけ
能力の用い方を支える
事物の教育
対象との関わりから得る経験
自分の行為とその結果を経験できるようにする
ルソーは、この三つの方向が食い違うと、教育に矛盾が生じると考えた。大人の説明が先行し、子どもの発達や経験と結びつかない場合には、言葉を聞いても、その意味を理解しにくくなる。
解説メモ|発達と、理解を支える経験を結びつける
他者に配慮する理由を言葉で説明することと、共同の活動で自分の行為が他者に与える影響を経験することでは、理解に至る経路が異なる。発達に即した教育を考える際には、伝える内容の難しさとともに、その意味を理解できる経験を検討する。何をいつ教え、どのような経験を準備するかを関連づけることで、三つの教育の関係を具体的に捉えられる。
出典:Rousseau, Émile。Project Gutenberg
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消極教育:自由な発見を支える環境構成
現在地|Ⅱ 発達と自由
消極教育(Negative Education)
知識や道徳を性急に教え込むことを控え、発達に応じた経験を通して、感覚、判断、行動の基盤を育てる考え方である。
教育者は、学習者がどのような対象や課題に出会い、自分の行為の結果をどう経験するかを考えて、環境を準備する。
中心となる緊張
学習者が自分で発見し、選んでいると感じる経験も、その範囲や条件は教育者によって構成されている。
解説メモ|教師の働きかけは、どのような判断を可能にするか
教師の説明を減らしても、課題や正解が細かく指定されていれば、学習者が判断できる範囲は狭い。説明や資料の提供によって、比較し選択するための手がかりが増える場合もある。消極教育を現代の授業に照らして考える際には、教師の関与の量と、その関与が可能にする経験や判断を区別して捉える。
出典:Rousseau, Émile, 第2編。現代への考察は本講の整理。Project Gutenberg
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カント:強制の下で、自由をどう育てるか
カント(Immanuel Kant)は『啓蒙とは何か』(1784年)で、他者の指図に頼らず自分の理性を用いることを問うた。ここでの「未成年状態」は、年齢そのものよりも、他者の判断に依存している状態を指す。教育論では、この問題が、自分の理性によって行為を判断する自律をどう育てるかという問いにつながる。
教育には、衝動を調整する訓練、能力を育てる陶冶、社会で行動するための文明化、行為の目的を道徳的に判断する道徳化などが含まれる。
自律的な判断を育てる過程で、子どもは大人の指導や制限を必要とする。そのため、外からの制限を通して、自分で理由を考え、行動できる人間をどう育てるかが教育の問題となる。
解説メモ|ルールを守る経験を、理由の理解へつなげる
安全のためのルールを教える際には、その必要性や他者の自由・権利との関係を理解し、自分で行動を調整する経験へつなげることが求められる。命令に従うことだけを成果とすると、大人がいない場面での判断を育てにくい。校則、生徒指導、道徳教育について、規律を受け入れる経験が自律的な判断にどう結びつくかを検討できる。
出典:Kant, On Education、Giesinger(2012)によるカントの道徳教育研究。Oll Resources
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現在地|Ⅱ 発達と自由

コンドルセ:自由と平等の実現を支える公教育
フランス革命期には、法の上の自由と平等を、人々が実際に使えるものにする条件が問われた。コンドルセ(Condorcet)は、1792年4月20・21日に立法議会へ提出した公教育に関する報告・法案で、市民が知識を得て、自分で判断するための公教育を構想した。
教育を受ける機会の差は、他者の判断に依存する関係を生み得るため、公的な教育機会や継続的な学習、科学的な知識へのアクセスを通して、自由と平等を実際に行使できる条件を整えようとした。
その際、公的に教育を支えることと、教育内容を政府や宗教的権威に従属させることを区別した。
解説メモ|公的支援と、市民の自律的な判断を結びつける
コンドルセの構想では、公教育は、市民が政策を理解し、必要に応じて批判するための知識を保障する役割を担う。国家による支援を受けながら、市民が自ら判断できることに教育の意味がある。この関係は、教育財政、政治的中立性、主権者教育、社会教育を考える手がかりとなり、国が教育を支える理由と、その関与の限界をあわせて論じる際に用いられる。
出典:フランス国民議会公開、コンドルセ1792年報告。Assemblée nationale
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現在地|Ⅱ 発達と自由

ペスタロッチ:生活を支える全人的な教育
ペスタロッチ(Johann Heinrich Pestalozzi)は、貧困や困難のなかにある子どもの教育実践に取り組み、人間のさまざまな能力を調和的に育てることを重視した。
整理の言葉
育てる側面
頭
認識、理解、判断
心
感情、道徳、信頼、他者との関係
手
身体、技能、具体的な活動
その実践では、安心して生活できる関係を築き、具体的な活動を通して能力を育てることが結びつけられていた。
解説メモ|生活と人間関係が、学習を支える
子どもの学習は、教材の説明とともに、生活の安定や他者への信頼、活動に関わる機会によって支えられる。ペスタロッチの実践は、知的な発達を、道徳や身体、生活上の関係の形成とあわせて考える視点を示している。現在の教育福祉や学習支援を取り上げる際にも、学力を補う活動が、どのような生活と人間関係のなかで行われているかを検討できる。
出典:ペスタロッチの教育思想・実践を扱う原教材。留学生のための日本教育学入門ー基礎知識から最新動向へ
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現在地|Ⅱ 発達と自由

直観教授:感覚的経験から概念的理解へ
現在地|Ⅱ 発達と自由
直観教授(Anschauung)
具体的な対象に触れたり観察したりすることを基礎に、その特徴を捉え、比較し、言葉で整理しながら理解を深める教授の考え方である。
ペスタロッチは、認識を組織する要素として数・形・語を重視した。
授業での展開例
複数の物を観察する→数や形、相違点を捉える→特徴を言葉にする→比較・分類する→別の対象にも使える理解へ進む。
解説メモ|観察を、比較と言葉による理解へつなげる
実物の提示を理解につなげるには、何に注目し、どの対象と比較し、どのような言葉で整理するかを教師が考える必要がある。直観教授では、この過程を支えることによって、具体的な経験から明確な認識へと進む。生活科や理科、幼児教育、博物館教育などを検討する際にも、対象を見る経験がどのように概念の理解へ結びつくかを説明できる。
出典:Pestalozzi, Wie Gertrud ihre Kinder lehrt(1801)。海因里希·佩斯塔洛齐
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Ⅲ 教授の体系化と新教育
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ヘルバルト:教育の目的と方法を体系化する
現在地|Ⅲ 教授の体系化と新教育
子どもの自由を尊重するという目的だけでは、教える内容や順序は決まらない。ヘルバルトは、教育目的と教授の進め方をどう結びつけたのだろうか。
ヘルバルト(Johann Friedrich Herbart)は、『一般教育学』(1806年)などで、倫理学を教育目的の基礎に、心理学を教育の方法や可能性を考える基礎に位置づけた。
教育の中心に道徳的な性格の形成を置き、それに向けた働きかけを、管理、教授、訓育の関係から捉えた。
区分
主な働き
管理(Regierung)
教育活動を成立させる秩序や条件を整える
教授(Unterricht)
知識・観念を組織し、興味や判断を広げる
訓育(Zucht)
意志や行動に働きかけ、道徳的な性格の形成を支える
解説メモ|教えることと、人を育てることの関係
教授を通して多様な対象や立場を理解し、それらを関連づけることは、他者や社会を判断するための基盤となる。扱う知識の範囲が狭ければ、興味や判断の材料も限られるため、ヘルバルトは知識の教授を人格形成に関わる働きとして捉えた。教科で何を教えるかが、どのような判断や意志を育てることに結びつくのかを考える視点である。
出典:Herbart, Outlines of Educational Doctrine。Project Gutenberg
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教育的教授・統覚・多面的興味をつなぐ
現在地|Ⅲ 教授の体系化と新教育
教育的教授
知識を伝える教授を、興味・判断・意志などの形成に関わる働きとして捉える考え方である。
統覚(Apperception)
新しく経験する内容を、すでに持っている観念や知識と関連づけて理解することを捉える概念である。
多面的興味
自然、人間、社会など、多様な対象に関心を広げ、理解を豊かにすることを目指す。
解説メモ|三つの概念を、教授の過程から理解する
学習者が新しい内容を既有の観念と関連づけられるように、教師は内容を選び、順序を整え、比較や説明を行う。その教授を通して、学習者の関心が他者や社会を含む多様な対象へ広がることが目指される。統覚は理解が成立する仕組み、多面的興味は育てようとする関心の方向、教育的教授は知識の教授と人間形成との結びつきを示している。
押さえる要点:知識の関連づけが、興味と判断の形成を支える。
出典:Herbartの教授論及び同書解説。Project Gutenberg
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教授段階:理解をどのように組織するか
現在地|Ⅲ 教授の体系化と新教育
ヘルバルトの四形式
学習過程としての説明
明瞭
対象を個別に、明確に捉える
連合
対象や観念のつながりを見いだす
系統
関係を秩序あるまとまりとして捉える
方法
得られた理解を用い、展開する
後継者のツィラー、ラインらによって段階論が展開され、予備・提示・比較・総括・応用などの五段階型が普及した。
解説メモ|個別の事例から、知識のまとまりへ進む
一般原理を理解するには、言葉を覚えることとともに、複数の事例を比較し、共通する関係を捉えることが必要になる。具体例を示した場合も、それらを整理する過程がなければ、知識は断片的なまま残りやすい。教授段階論は、個別の対象の理解から関係の把握、知識の活用へと進む過程を組織する視点を持つ。ヘルバルト自身の四形式と、後継者による五段階化は区別して説明する。
出典:Herbart, Outlines of Educational Doctrine、同書の学派に関する解説。Project Gutenberg
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新教育運動:時間・活動・環境を組み替える
19世紀に学校教育が拡大すると、共通の教材・時間・進度によって多数の子どもを教える仕組みが広がった。その一方で、画一的な進め方や暗記に偏る授業は、子どもの関心や生活経験を十分に生かせるのかという批判を招いた。
19世紀末から20世紀初頭の新教育運動では、この問題に応えようと、子どもの活動・興味・自発性を重視する多様な実践が展開した。学習環境や時間、課題、集団をどう組み替えるかが、具体的な改革の対象となった。
改革の焦点
教育上の問い
学習環境
自分で対象を選び、活動を継続できるか
時間と進度
一斉に進める学習と、個人の学習をどう組み合わせるか
課題の構成
生活上の問題と教科知識をどう結びつけるか
集団の関係
協力、自治、共同活動をどう組織するか
解説メモ|子ども中心主義を、教育条件から理解する
子どもを中心に教育を組み立てる際には、誰が課題を決め、教材をどう使い、時間をどのように配分し、他者とどう関わるかが問われる。教師の説明の量も、こうした条件との関係から考えられる。モンテッソーリ教育、ドルトンプラン、プロジェクト・メソッドなどを比較するときは、これらの共通の観点を用いることで、それぞれが学習者の活動をどう支えたのかを説明できる。
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現在地|Ⅲ 教授の体系化と新教育

新教育の三つの方法:学習を支える仕組みを比べる
前頁の比較軸を使い、子どもの選択がどのような条件の下で可能になるかを具体化する。活動例は本講座作成の説明例である。
方法
学習の組織のしかた
学習者の活動例
モンテッソーリ教育
準備された環境と教具を用意し、個々の発達・関心に応じた選択と反復を支える
教具を選び、操作し、誤りを確かめながら取り組む
ドルトンプラン
学習課題(assignment)と計画を通して、自分の進度・時間を調整し、教師との相談や協同を組み込む
課題を計画・遂行し、進捗を教師に相談する
プロジェクト・メソッド
目的ある活動・問題解決を組み、必要な知識を活動の過程で学ぶ
課題を構想し、調査・制作・発表を進める
出典:Montessori, The Montessori Method(準備された環境・教具);Parkhurst, Education on the Dalton Plan(assignment・laboratory);Kilpatrick, “The Project Method” (1918)。Montessori原著/Parkhurst原著/Dalton Plan/原論文の再録(Schools)
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現在地|Ⅲ 教授の体系化と新教育

Ⅳ 経験・探究・民主主義
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デューイの出発点:生活と学校が離れていく
新教育の方法を比べると、活動を設けるだけでは、そこで何が学ばれるかは説明しきれない。デューイの実践を、経験と知識が結びつく過程から読む。
デューイ(John Dewey)は、産業化によって生産活動が家庭や地域の生活から分離し、子どもが仕事の過程や社会的な協力を日常的に経験しにくくなることに注目した。
学校でも、教科ごとに教えられる知識が子どもの生活経験と結びつかず、何のために学ぶのかを理解しにくい場合がある。
教育上の課題
子どもの活動、社会の生活、組織された知識を、学校でどう結び直すか。
解説メモ|生活に関わる活動を、教材として組織する
物をつくる、調理する、共同で作業するといった活動には、自然の性質や技術の発達、人々の役割、資源の流通などが関わっている。これらを理解するために必要な知識を活動のなかで扱うと、個別の教科で学ぶ内容が、共通の問題を考えるための手がかりになる。生活に近い活動を取り入れる意味は、その楽しさとともに、生活・社会・知識の関係を学べる点にある。
出典:Dewey, The School and Society。Project Gutenberg
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現在地|Ⅳ 経験・探究・民主主義

デューイ・スクールとオキュペーション
デューイは1896年、シカゴ大学で実験学校を開き、料理、裁縫、織物、木工などの**オキュペーション(Occupation)**を中心に教育内容を組織した。
オキュペーションは、社会生活に関わる持続的・目的的な活動を通して、知識や技能を学び、共同生活との関係を理解する構想である。
活動
学ぶ関係
調理
食材、熱、数量、栄養、共同作業
紡績・織物
素材の性質、道具、機械、産業、歴史
木工
測定、形、材料、構造、制作計画
解説メモ|作業に含まれる科学・歴史・社会を学ぶ
学校でのオキュペーションは、作業を通して科学的・歴史的・社会的な意味を理解することを中心に置く。製品を効率よくつくる技能の訓練とは教育目的が異なり、完成度だけで評価すると、活動に含まれる知識の学習を捉えにくい。現代の探究や教科横断的学習に結びつける際は、活動のどこで知識が必要となり、その理解がどう深まるかを示す。
出典:Dewey, The School and Society。Project Gutenberg
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現在地|Ⅳ 経験・探究・民主主義

具体的実践:繊維から、科学と社会の歴史へ
『学校と社会』には、子どもが綿や羊毛を扱い、繊維を取り出して糸や布へ加工する活動が記されている。教師の問いや助言を受けながら、素材の性質や作業の難しさを経験し、道具や技術が持つ意味を理解していく。
活動で生じる問題
知識への接続
素材によって扱いやすさが違う
繊維の性質、自然科学
手作業では時間がかかる
道具・機械の工夫、技術の歴史
原料が特定の地域で得られる
地理、気候、生産と流通
生産方法が変わる
労働、産業、社会生活の変化
解説メモ|活動上の問いが、複数の教科の知識を結ぶ
子どもが素材の扱いにくさを経験し、その理由や改善方法を考えると、繊維の性質、道具の工夫、技術の歴史へと問いが広がる。このように、活動を理解し進める必要から、理科・社会・算数などの知識が関連づけられる。オキュペーションの教育的な特徴は、制作を通して生じた問いを、自然や社会についての理解へと深める点にある。
出典:Dewey, The School and Society。Project Gutenberg
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現在地|Ⅳ 経験・探究・民主主義

具体的実践:料理の手順から、条件の理解へ
デューイは、卵を調理する活動のなかで、温度の異なる水が卵白にどのような変化をもたらすかを、子どもたちが調べた例を紹介している。
材料や温度の関係を理解すると、レシピの手順に従ってつくることから、条件を確かめ、自分で調理の仕方を調整することへと学習が進む。
学習の展開
「つくりたい」という関心
→実際の材料や条件に出会う
→変化を観察する
→理由を考える
→理解に基づいて行為を調整する。
解説メモ|興味を尊重し、活動を通して深める
「料理をしたい」という関心は活動の出発点になるが、必要な知識や手順は、実際に取り組むなかで明らかになっていく。教師は、その関心を受け止め、材料の性質を理解し、困難に取り組み、行為を工夫できるように支える。興味は、こうした対象との関わりを通して深まり、最初の好みから新たな問いや活動へと広がっていく。
出典:Dewey, The School and Society。Project Gutenberg
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現在地|Ⅳ 経験・探究・民主主義

『子どもとカリキュラム』:経験と教科はどうつながるか
『子どもとカリキュラム』(1902年)では、子どもの現在の経験と、教科として組織された知識を、教育の過程でどのように関係づけるかが論じられている。
子どもの経験が生活のなかでまとまりを持つのに対し、教科は蓄積された知識を論理的に組織したものである。教師には、現在の経験に含まれる学習の可能性を、教科の知識を用いて見通すことが求められる。
解説メモ|教科知識を、経験を広げる見取り図として用いる
子どもが川の水に関心を持ったとき、教師は教科の知識を手がかりに、水質や生態、土地利用、流域の生活など、学習を広げられる方向を考える。その見通しに基づいて資料や説明、活動を準備すると、子どもの現在の経験が、より広い理解へつながる。教科の専門性は、経験を深めるために何を学ぶ必要があるかを判断する基盤となる。
理解の要点:経験の心理的なまとまりと、教科の論理的な組織をつなぐ。
出典:Dewey, The Child and the Curriculum。Project Gutenberg
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現在地|Ⅳ 経験・探究・民主主義

教育的経験:連続性と相互作用
『経験と教育』(1938年)では、経験の質を判断する基準として、連続性と相互作用が示されている。
基準
意味
連続性(Continuity)
現在の経験が、後の経験や学習の方向に影響する
相互作用(Interaction)
学習者の関心・能力・経験と、教材・人・環境との関係のなかで経験が成立する
解説メモ|経験の価値を、次の学びとの関係から考える
楽しい活動でも、得意な作業ばかりを選ぶ習慣がつき、他の対象への関心が狭まる場合がある。一方、実験の失敗が、原因を調べて新たな問いを持つ契機になることもある。経験の教育的な価値を考える際には、その場の快・不快とともに、どのような関心や習慣が育ち、次の経験をどう開くかを捉える。教師は、活動の内容を、その後の学習への影響とあわせて検討する。
出典:Dewey, Experience and Education, 第3章(経験の連続性・相互作用)。Internet Archive
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現在地|Ⅳ 経験・探究・民主主義

探究と民主主義:問題を共同で考える経験
現在地|Ⅳ 経験・探究・民主主義
探究(Inquiry)
不確かな状況から問題を明確にし、説明の見通しを立て、資料や行為の結果を検討しながら理解を修正する過程である。
民主主義
デューイは、政治制度としての側面とともに、人々が経験を共有し、異なる立場の人と関わりながら生活をつくるあり方として民主主義を捉えた。
解説メモ|共同活動が、民主的な学びになる条件
班で作業する場合も、一人が方針を決め、他の人が実行するだけであれば、全員が問題の設定や判断に関わる経験は限られる。異なる経験を持ち寄ることで問いや判断が変わり、各人が活動の意味を理解して参加するとき、探究は民主的な経験と結びつく。協働学習や主権者教育を考える際には、作業を分けることと、問題を共同で考えることの関係を確かめられる。
出典:Dewey, Democracy and Education, 第7・11・12章。Project Gutenberg
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ヘルバルトとデューイ:知識と経験の組織を比較する
現在地|Ⅳ 経験・探究・民主主義
比較軸
ヘルバルト
デューイ
中心となる教育問題
教授を道徳的人間形成に結びつける
経験を成長・探究に結びつける
理解を捉える概念
統覚、観念の関連
経験、相互作用、探究
知識の位置
興味や判断を育てるために組織する
活動を理解し、経験を広げる資源となる
教師の役割
内容と教授過程を組織する
経験と教科の関係を見通し、環境を組織する
解説メモ|共通点を踏まえて相違を説明する
両者とも教師の働きと知識の組織を重視しているが、中心に置く教育問題と、理解を説明する理論が異なる。同じ授業を取り上げる場合、ヘルバルトからは既有の観念と新しい内容の関連に、デューイからは問題状況と経験の再構成に注目できる。比較答案では、共通する関心を確認したうえで、それぞれの概念によって授業のどの関係を説明できるかを示す。
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Ⅴ 対話と社会変革・現代への接続
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フレイレ:知識を受け取る位置を問い直す
フレイレ(Paulo Freire)は、1960年代のブラジルなどにおける成人識字教育を通して、貧困や抑圧のなかにいる人々の学びを考えた。1963年のアンジコスでの実践では、学習者の生活に関わる語を手がかりに学習を組織した。
識字は、文字を覚えることとともに、自らの労働や生活を社会的な関係から理解し、その現実に働きかける問題と結びついた。この背景から、誰が知識を持つ者とされ、誰が受け手に固定されるかという教育関係が問われる。
銀行型教育
教師を知識の所有者、学習者を預けられた知識の受け手として固定する教育関係を、批判的に表す概念である。
問題提起型教育
教師と学習者が生活経験や社会の問題を共同で問い、知識を形成していく教育を指す。
解説メモ|生活経験を、社会を読み解く出発点にする
学習者が経験する労働、差別、貧困、地域の関係について語り合い、他者の経験や社会的な知識と結びつけると、個人の困難がどのような関係のなかで生じているかを考えられる。フレイレは、こうした理解をもとに社会へ働きかける主体として学習者を捉えた。既存の社会への適応を求める教育に対して、学習者が現実を問い直すことに教育の可能性を見いだしている。
出典:Freire, Pedagogy of the Oppressed。Internet Archive
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現在地|Ⅴ 対話と社会変革・現代への接続

対話・意識化・プラクシスの関係
現在地|Ⅴ 対話と社会変革・現代への接続
概念
内容
対話
経験や認識を持ち寄り、現実の問題を共同で検討する
意識化(Conscientization)
自分の経験を、社会的な関係や構造との結びつきから捉え直す
プラクシス(Praxis)
現実への働きかけと、その省察を結びつける
仮想事例
仕事上の困難を自分の努力不足として受け止めていた人々が、経験を語り合い、労働条件や制度を学ぶことで、改善に向けた活動を考えるようになる。
解説メモ|経験の検討と、行動後の省察を重ねる
支援者が「原因は制度である」と答えを先に与え、同意を求めると、学習者が自分の経験から問題を考える機会は狭くなる。対話では、経験の違いを確かめながら、何が問題で、どう働きかけられるかを共同で検討する。行動後も結果や残る困難を省察し、理解と実践を組み直していくため、成人教育、地域学習、労働教育では、この往復を捉えることが重要になる。
出典:Freire, Pedagogy of the Oppressed。Internet Archive
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理論が現代の研究課題になる例
2024年の研究「デューイ・スクールのオキュペーション学習にみる教科横断的な活動と教科内容の関連」は、活動に含まれる教科内容を、日本の学習指導要領の内容と対比して検討している。
この研究では、デューイの実践を具体的に読むことを通して、教科横断的な活動と各教科の内容がどのように結びつくかを問うている。
自分の研究関心へ展開する例
探究学習への関心
→生活上のテーマと各教科の知識は、学習のなかでどう結びつくか。
協働学習への関心
→共同制作のなかで、一人ひとりが問題の意味や知識をどう共有するか。
教師の役割への関心
→子どもの関心を尊重しながら、教師はどのような内容へ学習を広げるか。
解説メモ
理論を研究に用いる際には、「経験」「教科」「共同」「教師」といった概念から、関心のある実践のどの関係を問うのかを具体化する。例えば、経験と教科の関係に注目すれば、活動中に必要となった知識がどのように学ばれるかを検討できる。このように、理論が示す関係と対象の具体的な場面を結びつけることで、研究の焦点が定まる。
出典:齊藤淳子ほか(2024)、上記論文、10巻1号、101–113頁。J-STAGE
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現在地|Ⅴ 対話と社会変革・現代への接続

系統的な学習と、経験からの学習を結びつける
系統的な学習は、学問や教科の概念を関連づけ、知識の全体像や学ぶ順序を捉えられるようにする。経験からの学習では、学習者が問題の意味を理解し、知識を使って考えるなかで、自分の理解を組み直していく。
結びつける場面
教育上の働き
活動に入る前
基礎概念や安全上の知識を学ぶ
問題に取り組む途中
不足する知識を学び、説明を修正する
活動の後
個別の経験を概念として整理し、別の問題へ広げる
解説メモ|知識と経験の往復を授業に組み込む
経験によって新しい知識が必要になり、その知識を得ることで、経験の意味や問題の見え方が変わることがある。知識と経験は、このように学習の過程で繰り返し結びつく。授業を構想する際には、どの場面で何の概念が必要になり、それをどう学ぶかを考える。活動に必要な知識と、学んだ知識を使う場面の両方を確かめることで、学習内容をつなげられる。
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現在地|Ⅴ 対話と社会変革・現代への接続

現代政策への接続:個別最適な学びと協働的な学び
2021年1月26日の中央教育審議会答申は、「令和の日本型学校教育」の方向として、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させることを示した。
内容
具体的な意味
指導の個別化
特性や学習状況に応じて、教材・方法・時間等を調整する
学習の個性化
興味・関心等に応じて、課題や活動を広げる
協働的な学び
仲間、教師、地域の人々等との関わりを通して理解を深める
解説メモ|思想史から、学習条件の組み方を考える
個別化を考える際には、端末を使う時間とともに、知識を体系的に学ぶ機会や他者と経験を共有する場を捉える。協働的な学びについても、共同作業のなかで何が理解され、判断がどう変わるかを確かめる必要がある。ルソーの発達と環境構成、ヘルバルトの知識の関連、デューイの経験と共同を用いると、個別に調整する条件と共有する内容を具体的に検討できる。
出典:中央教育審議会答申(2021年1月26日)、文部科学省解説。文部科学省
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現在地|Ⅴ 対話と社会変革・現代への接続

演習・比較・論述
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複数選択問題1:三つの教師像を比較する
現在地|演習・比較・論述
本講座作成・仮想の指導方針
甲:子どもが自分の行為の結果を経験できるように環境を準備し、直接教える時期を考える。
乙:ルールに従う経験を、その理由を理解し、自分で判断することへつなげる。
丙:子どもの経験に含まれる問いを見いだし、教科の知識を用いて学習を広げる。
理論との対応として適切なものをすべて選びなさい。
A.甲は、ルソーの消極教育と環境構成の問題に結びつく。
B.乙は、カントの規律と自律の問題に結びつく。
C.丙は、教師の指導を排除することを目的としたデューイの考え方に対応する。
D.三者は、教師の関与が少ないほど良いという同じ原則を述べている。
E.丙では、教師が教科の構造と学習者の経験の双方を理解する必要がある。
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複数選択問題2:教材を「分かりやすくする」とは何か
現在地|演習・比較・論述
本講座作成・授業案の比較
教師は、立体の体積を教えるために二つの案を考えた。
案Ⅰ:公式を示した後、形の異なる模型を見せて覚えさせる。
案Ⅱ:模型を分割したり組み合わせたりして大きさを比較させ、その関係を図と言葉で整理した後、式へつなげる。
ペスタロッチとヘルバルトの考え方から適切に説明できるものを二つ選びなさい。
A.模型があるため、両案は同じ意味で直観教授を実現している。
B.案Ⅱでは、具体的な対象の比較と言語化を通して、概念を形成する過程に注目できる。
C.案Ⅱで既習の図形との関係を確認することは、統覚の視点に結びつく。
D.教育的教授とは道徳教材を用いることであり、体積の学習には関係しない。
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複数選択問題3:探究活動のどこを組み替えるか
現在地|演習・比較・論述
本講座作成・仮想事例
生徒が地域の食品ロスについて調べ、ポスターを作った。発表は盛り上がったものの、廃棄量の変化や流通の仕組みについての理解は十分ではなかった。教師は、次年度も同じ活動を繰り返すか、教科の授業と関連づけて内容を変更するか検討している。
デューイの考え方に即した改善として適切なものをすべて選びなさい。
A.完成したポスターの見栄えを主な成果とし、知識の理解は別の授業だけで扱う。
B.活動中に生じた疑問を、数量、流通、環境などの学習へ結びつける。
C.教師が説明をすると探究でなくなるため、資料の読み方も生徒に任せる。
D.調べた知識によって、最初の問題の捉え方がどう変わったかを振り返る。
E.活動後に新しい問いや実行可能な改善案を考え、次の経験へつなげる。
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複数選択問題4:共同学習と対話を考える
現在地|演習・比較・論述
本講座作成・仮想材料
地域の交通問題を扱う授業で、教師は「住民の協力が必要」という結論を期待していた。生徒が調査すると、家族による送迎への依存、運転できない人の困難、行政の財政、働く人の時間など、立場によって異なる問題が見えてきた。一部の生徒は、協力を呼びかけるだけでは負担の偏りが残ると考えた。
デューイとフレイレを手がかりにした考察として適切なものをすべて選びなさい。
A.異なる経験を知ることで最初の問いが変わることを、学習の展開として捉えられる。
B.授業目標があるため、生徒の問題提起は予定した結論に合う範囲へ戻すべきである。
C.負担の偏りを制度や役割分担と関係づけることは、意識化の視点に結びつく。
D.教師の政治的な主張を生徒が支持することを、プラクシスの到達点とする。
E.提案を実施し、その結果や残る問題を共同で振り返る過程を設けられる。
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複数選択問題5:研究関心と理論の焦点を対応させる
現在地|演習・比較・論述
本講座作成
次の研究関心と理論的な問いの組合せについて、適切なものをすべて選びなさい。
A.校則研究―カントの自律を手がかりに、規則の理由を理解し判断する経験がどう組織されるかを問う。
B.探究学習研究―デューイを手がかりに、生活上の問題と教科の概念が学習過程でどう結びつくかを問う。
C.成人学習研究―フレイレを手がかりに、学習者が支援者の社会批判を正確に暗記できたかだけを問う。
D.公教育研究―コンドルセを手がかりに、公的支援と、自律的な判断を保障する教育との関係を問う。
E.直観教授研究―具体物を使用した回数だけを数え、比較や概念形成は理論の範囲から除く。
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教師が担う働きの違い
現在地|演習・比較・論述
理論を授業に用いる際は、活動の名称とともに、何を経験し、どの知識と結びつけることで理解が進むのかを説明する。
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教育実践から研究課題へ
現在地|演習・比較・論述
研究課題を考える際の一文
「この理論を用いると、私の関心について、何と何の関係を問うことができるか。」
研究方法は、この問いを明確にしたうえで選ぶ。
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過去問A:コメニウスと現代日本の教育問題
早稲田大学大学院教育学研究科 2024年度入学試験
学校教育専攻/専門科目 設問Ⅰ(教育学)問題1(3)からの抜粋
元の試験の共通指示
以下の6題中、1課題を選び、論述しなさい。
原題
(3)コメニウスの教育思想を手がかりとして、現代日本の教育問題について論述しなさい。
出典:所蔵過去問『2024早稲田教育一般.pdf』PDF pp.2–3。
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小論文B:専門発展・デューイの実践と理論
教育思想・教育方法志望者向け/75分/1,400字程度
デューイ・スクールにおけるオキュペーションの教育的意義について、次の二点に答えなさい。
(1)オキュペーションとは何かを説明し、実験学校での具体的な活動を一つ取り上げ、その活動と教科知識の関係を述べなさい。
(2)その実践を、デューイの経験論および教師の役割と関連づけて考察し、現代の探究学習または教科横断的学習にどのような示唆を与えるか論じなさい。
目安:(1)400〜500字、(2)800〜900字。
専門性が求められる点
オキュペーションの目的を実践の具体的な内容に即して説明し、経験と知識の関係を捉えたうえで、現代の学習への示唆を導く。
本講座作成。早稲田大学2025年度には「デューイ・スクール」の用語説明が確認できるが、本問はその過去問の転載ではない。早稻田大学
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現在地|演習・比較・論述

授業後の課題
共通基礎題に取り組んだ後、専門志望者は本問へ進む。原典では『学校と社会』の実践記述と『子どもとカリキュラム』を対応させて読む。
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