
ジェンダーとセクシュアリティ
学校で形成される期待と、学び・進路・身体をめぐる権利
実学志教育学専門課程
講師:KIKI
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本講の流れ:学校での経験から、選択と権利を考える
本講座作成・仮想事例
数学が得意な女子生徒には「資格の取れる医療系」が、同程度の成績の男子生徒には「工学系」が勧められた。教師は、どちらも本人の将来を考えた助言だと説明している。
進路を決めるのは本人であるが、どのような選択肢を知り、自分に何が向いていると考えるかは、それまでに得た経験や周囲からの助言とも関わっている。本講では、この関係を学校での学習と生活に即して考える。
学ぶ段階/中心となる問い
Ⅰ ジェンダーの形成
性別による期待は、日常の経験にどう入り込むか
Ⅱ 学校と進路
共通の教育機会は、実際の選択とどう関係するか
Ⅲ 性の多様性
学校生活への参加とプライバシーをどう保障するか
Ⅳ セクシュアリティ教育
身体・関係・権利について、どのような学習を組み立てるか
到達目標は、本人の希望や困難を尊重しながら、それらが形成される教育条件と社会的な関係を説明できるようになることである。
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Ⅰ ジェンダーの形成
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「性」に関する六つの概念を区別する
現在地|Ⅰ ジェンダーの形成
概念
基本的な意味
身体的な性の特徴
生殖器官、染色体、ホルモンなど、身体に関わる特徴
ジェンダー
社会的・文化的に形成される性別役割、期待、規範、関係
ジェンダーアイデンティティ
自分自身の性別についての認識
性的指向
恋愛感情・性的感情の対象に関わる指向
性表現
服装、髪型、言葉遣い等による表現
セクシュアリティ
身体、感情、関係、価値、アイデンティティ等を含む性のあり方
※身体的な性の特徴、ジェンダーアイデンティティ、性的指向、性表現は相互に関連し得るが、互いから自動的に推測できる同一の属性ではない。本人への問いかけや記録では、分析上必要な範囲を超えて開示を求めない。
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「性」に関する六つの概念を区別する(補足)
現在地|Ⅰ ジェンダーの形成
解説メモ|身体・自己認識・表現・社会の期待を分けて考える
服装から性的指向を判断したり、性的指向から本人の性別認識を推測したりすることはできない。それぞれ異なる側面を指すためである。また、ジェンダーを考える際には、個人の認識に加え、周囲が誰にどのような役割を期待するかという社会的な関係も対象となる。学校の問題を分析するときは、身体の特徴、自己認識、周囲の期待、制度のうち、何がどのように関わっているかを明確にする。
用語は原稿の整理に基づく。「性的指向」の標準的な訳として「性的嗜好」は用いない。留学生のための日本教育学入門ー基礎知識から最新動向へ
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ジェンダー社会化:期待が経験の違いをつくる
現在地|Ⅰ ジェンダーの形成
ジェンダー社会化は、家庭、学校、友人、メディア等との関わりを通して、性別に結びつけられた役割や振る舞いを学ぶ過程である。
ステレオタイプは、ある集団について単純化された固定的なイメージを指す。アンコンシャス・バイアスは、本人が十分に自覚していない思い込みや判断の偏りを指す。
本講で考える関係
周囲からの期待
→挑戦を勧められる活動・任される役割
→成功や失敗の経験
→自己理解と将来の見通し。
解説メモ|家庭・労働の分業が、学校での期待に入り込む
「男性は稼ぎ手、女性は家事・育児」という性別役割分業は、家族規範や労働制度と結びついてきた。1960〜70年代に広がった第二波フェミニズムは、法的な平等に加え、家庭、ケア、身体、日常文化にある不平等を社会的な問題として捉えた。学校で女子に世話役、男子に機器操作を繰り返し任せることも、こうした社会的役割と関わる。ジェンダー社会化の分析では、個人の思い込みとともに、経験の配分を支える家族・労働・学校の関係を見る。
出典:基礎教材「教育とジェンダー」のステレオタイプ・進路形成に関する議論。留学生のための日本教育学入門ー基礎知識から最新動向へ
NOW, 1966 Statement of Purpose(運動当事者の一次文書):NOW
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Doing Gender:相互行為のなかでジェンダーが維持される
現在地|Ⅰ ジェンダーの形成
ウェストとジマーマン(West & Zimmerman, 1987)は、ジェンダーを、日常の相互行為のなかで繰り返し達成されるものとして論じた。
人々は、性別カテゴリーに結びつけられた期待を参照しながら、他者の行動を評価し、自分の行動を調整する。こうしたやり取りを通して、ジェンダーが人々の関係のなかで維持されることに注目する。
本講座作成・学校場面
男子が泣くと「男なのに」、女子が強く主張すると「もっと穏やかに」と言われる場面では、性別によって異なる振る舞いが期待され、行動への評価にも違いが生じている。
解説メモ|表明された意識と、日常の評価を照らし合わせる
教師や生徒が「男女は平等だ」と考えていても、役割の任せ方や褒め方には、性別に結びついた期待が表れる場合がある。Doing Genderの視点では、誰が何を期待され、その期待から外れたときにどのような反応を受けるかを調べる。学校文化を検討するには、平等についての意識と、仕事の分担や評価を通して日々繰り返される関係をあわせて捉えることが重要になる。
出典:West & Zimmerman(1987), “Doing Gender”。Sage Journals
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Doing Gender:相互行為のなかで ジェンダーが維持される(分析演習)
現在地|Ⅰ ジェンダーの形成
出典:West & Zimmerman(1987), “Doing Gender”。Sage Journals
その場で分析する
本文の「男子が泣くと『男なのに』と言われる」例について、①観察できる発言・反応、②そこで働く性別規範、③その規範が次の行動機会に及ぼし得る影響、を分けて各一文で書く。教師の意図は、資料がない限り推測しない。
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隠れたカリキュラム:何を教え、何が学ばれているか
現在地|Ⅰ ジェンダーの形成
隠れたカリキュラムは、明示された教育目標とは別に、学校の組織、慣行、相互行為を通して学ばれる規範や価値を捉える概念である。
明示された内容
日常の経験として検討すること
男女平等
誰が代表や補助の役割を担うか
個人の尊重
性別から行動や進路を予測していないか
多様性の尊重
教材にどのような家族や生き方が登場するか
主体性
誰の発言が取り上げられ、誰が待つ側になるか
解説メモ|共通の教室で、どのような経験が配分されているか
共学の教室でも、質問される内容、任される作業、失敗したときの説明が異なれば、生徒が学ぶことには差が生じる。隠れたカリキュラムの分析では、こうした反復的な活動を取り上げ、どの規範や価値を学ぶ経験になっているかを検討する。教師の内心を推測することと区別し、公式の教材や目標を、実際の学校生活に照らして考える。
出典:基礎教材「隠れたカリキュラムにみるジェンダー」。留学生のための日本教育学入門ー基礎知識から最新動向へ
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Ⅱ 学校と進路
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教育機会の歴史:入学できることと、学べる内容
現在地|Ⅱ 学校と進路
日常の相互行為で形成される期待は、教科の学習機会や進路の選択とどう関わるか。制度上の平等と、実際に経験する教育を照らし合わせる。
近代日本では、女子の就学機会が広がる一方、中等・高等教育への経路や教育内容は、男子とは異なる形で整備された。
時期・制度/教育機会を考える焦点
1872年の学制以降
女子を含む就学の拡大と、実際の就学条件
戦前の中等教育
中学校・高等女学校等、性別による経路と教育目的の違い
1947年以降の戦後改革
男女共学、共通の学校体系、上級学校への機会拡大
戦後の教育拡大
進学段階、専攻、職業への接続に残る分化
解説メモ|制度上の制約を変えても、経験の差は残る
戦後の占領下で民主化と男女同権を掲げる改革が進み、1945年の女子教育刷新要綱は教育機会と内容の平等化、高等教育の開放を示した。共通の学校体系は性別による進路の制約を変えたが、入学資格が共通でも、履修内容や役割への期待が直ちに同じになるわけではない。次頁の家庭科共修と、その後の専攻選択を、制度・経験・卒業後の機会を分けて読む。
出典:基礎教材「学校教育の歴史におけるジェンダー」。留学生のための日本教育学入門ー基礎知識から最新動向へ
追加確認資料:文科省『学制百年史』新教育の基本方針・女子教育の振興
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家庭科の男女共修:生活を担う力を共通の教育へ
現在地|Ⅱ 学校と進路
改革前の問題
高校家庭科は女子のみ必修とされ、中学校の技術・家庭科にも性別による履修内容の違いがあった。教育課程自体が、家事・育児を主に女性が担うという社会的役割分担と結びついていた。
国際的な権利保障と国内改革
女子差別撤廃条約は、教育機会・教育課程の平等と、性別役割の固定観念の撤廃を求めた。日本は1985年に批准し、1989年告示の学習指導要領改訂を経て、中学校は1993年度、高校は1994年度入学生から男女共修となった。
解説メモ|共通の履修を、生活をともに担う経験へつなぐ
衣食住、ケア、消費、生活設計を全員の学習として扱うことに改革の意義がある。ただし、同じ教室でも実習の役割が性別で固定されれば、従来の分業は再び学ばれる。条約、教育課程、教材・実習、卒業後の生活をつなげて考える。
出典:日本家庭科教育学会の研究報告、1989年改訂と男女共修の実施時期。J-STAGE
男女共同参画白書 2019 コラム2:学習指導要領の変遷/女子差別撤廃条約 第10条:外務省
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教育達成の平等と、専攻分野の偏り
現在地|Ⅱ 学校と進路
教育におけるジェンダー格差には、どの教育段階まで進むかという違いと、同じ段階でどの分野を選ぶかという違いがある。
観点
問うこと
垂直的な分化
どの教育段階まで進むか
水平的な分化
同じ教育段階で、どの専攻・経路に進むか
大学の当該分野に在籍する学生に占める女子の割合
2025年度の公表値では、理学29.4%、工学17.9%である。分母は各分野に在籍する学生であり、「女子学生のうち何%が理工系に進んだか」を示す数値とは異なる。
解説メモ|進学率と専攻の構成は、異なる機会を捉える
男女の進学率が近づいても、選ぶ専攻や大学院への進学、学習環境には違いが残る場合がある。どの指標を用いるかによって捉えられる教育機会が異なるため、数値の対象と分母を確認したうえで、その背景にある経験や選択肢を検討する。分野別の人数差だけから、個々人の能力や希望が形成された理由まで判断することはできない。
出典:2026年版男女共同参画白書第4章。数値は原稿で学校基本調査を用いた大学の公表資料とも照合されている。男女共同参画局
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期待・価値理論:成績が同じでも選択が異なる理由
現在地|Ⅱ 学校と進路
エクルズとウィグフィールドの状況的期待・価値理論は、達成や選択を、成功への期待と、課題に感じる価値・負担との関係から捉える。
要素/学習者の問い
解説メモ|成績を、将来の見通しや負担の理解と関連づける
理工系の科目で高い成績を収めていても、卒業後の姿を思い描けず、周囲から孤立する不安が大きければ、別の分野を選ぶ場合がある。一方、具体的な活動や支援者との出会いを通して、学ぶ価値や成功への見通しが変わることもある。この理論からは、教育経験や社会的なメッセージが本人にどう受け取られ、進路の評価に結びつくかを検討できる。
出典:Eccles & Wigfield(2020), Situated Expectancy-Value Theory。DOI
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成功への期待
自分にできそうか
興味・楽しさ
この活動自体に関心があるか
達成価値
取り組むことが、自分らしさや大切な目標と関わるか
有用価値
将来の仕事や生活に役立つか
コスト
時間、費用、不安、他の機会を失う負担はどの程度か

進路指導:希望が形成された過程を、本人と確かめる
現在地|Ⅱ 学校と進路
本講座作成・仮想事例
生徒は「工学に興味はあるが、自分に向いているか分からない」と話している。成績上の問題は少ないものの、仕事内容をよく知らず、遠方への進学費用や、女性の少ない環境で学ぶことに不安を感じている。
理論から整理すること
教育上の対応例
成功への見通し
実際の課題を経験し、できたことを具体的に振り返る
学ぶ価値
学問が関わる仕事・生活・社会問題を知る
心理的・経済的コスト
相談相手、支援制度、通学・居住条件を検討する
他の選択肢
比較できる複数の経路を示す
解説メモ|本人が比較し、判断できる材料を増やす
進路指導では、本人が何に関心を持ち、何を不安に感じているかを確かめ、その判断に必要な経験と情報を用意する。女子を一律に理工系へ進ませることを目的にすると、本人の希望に別の規範を重ねることになる。希望を支えている条件と、選択肢を狭めている条件を本人と検討し、複数の進路を比較できるようにすることが、選択の自由を支える。
前頁の理論を用いた本講座の事例分析。
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ステレオタイプ脅威:評価される状況も成績に関わる
現在地|Ⅱ 学校と進路
ステレオタイプ脅威は、自分が属するとされる集団への否定的な見方を、自分の成績や行動が裏づけてしまうのではないかと感じる脅威を指す。
Spencer、Steele、Quinnの1999年の研究は、数学に関する性別のステレオタイプが意識される条件と、そうでない条件を比較し、特定の実験状況における課題遂行の違いを検討した。
解説メモ|成績を、能力が発揮される場の条件から考える
この研究から教育を考える際には、本人の能力とともに、課題の難しさ、評価についての説明、周囲からの期待が、課題に取り組む状況をどう形づくるかに注目できる。ただし、効果は対象者や課題、状況によって異なる。研究が扱った実験条件を明確にし、その結果だけであらゆる男女差の原因を説明したり、すべての学校場面に同じ影響があると判断したりしないことが重要である。
出典:Spencer, Steele & Quinn(1999), “Stereotype Threat and Women’s Math Performance”。ScienceDirect
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ロールモデルとの出会いを、学習や相談につなぐ
現在地|Ⅱ 学校と進路
ロールモデルは、他者の生き方や経験を通して、自分の可能性や進路を考える手がかりとなる存在である。
教育で組み合わせること
多様な進路を歩む人との出会いを、仕事内容や学習過程の理解、実際の課題への挑戦、具体的な助言につなげる。費用や生活条件に関する情報も、進路を考える材料となる。
解説メモ|成功に至る過程を知り、自分との接点を考える
成功した姿だけを見ると、「特別な人だからできた」と感じる場合がある。迷いや失敗、支援の利用、仕事と生活の調整についても知ることで、自分が同じ分野に進む場合の見通しを持ちやすくなる。本人の関心に合う活動や相談と結びつけ、進路を具体的に検討できるようにする。この視点は、男子がケアや教育の領域に関心を持つ場合にも用いられる。
出典:基礎教材のロールモデル論。対応例は本講座による具体化。留学生のための日本教育学入門ー基礎知識から最新動向へ
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Ⅲ 性の多様性
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SOGI:性的指向と性別認識を理解する視点
現在地|Ⅲ 性の多様性
SOGIは、Sexual OrientationとGender Identityの頭文字であり、性的指向とジェンダーアイデンティティを指す。特定の少数者に限らず、すべての人に関わる概念である。
L・G・Bは主に性的指向、Tは主にジェンダーアイデンティティに関わるため、それぞれが指す側面を区別して理解する。
学校文化で検討する前提
全員が異性に恋愛感情を持つことや、出生時に割り当てられた性別と本人の性別認識が一致することを前提としていないかを確かめる。教材で示される家族や将来像についても、その多様性を検討する。
解説メモ|相談の有無にかかわらず、利用できる支援を用意する
自分の性的指向や性別認識を学校で話していない生徒もいるため、相談がないことから、そのような生徒はいないと判断することはできない。からかいを止め、多様な生き方を教材で取り上げ、相談経路を知らせる取組は、本人が自己開示する前から利用できる環境をつくる。個別相談への対応を、このような日常の学校づくりと組み合わせることが重要になる。
出典:原稿のSOGI整理、2026年理解増進基本計画。留学生のための日本教育学入門ー基礎知識から最新動向へ内閣府
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2015年通知:学校生活で生じる困難に対応する
現在地|Ⅲ 性の多様性
学校での支援への関心と要請が高まり、文部科学省は2014年に対応状況を調査した。その実例を踏まえ、2015年4月30日、「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」を通知した。文書名には当時の用語が用いられている。
通知が扱う内容
相談を受けた教員を組織的に支える体制を整え、本人・保護者への説明を伴う情報共有を行う。制服、呼称、更衣、トイレ、授業、修学旅行等について、具体的な対応を検討する。
通知は、診断がなされていない場合にも、悩みや不安に寄り添う観点から支援が可能であるとしている。
解説メモ|同じルールでも、参加しにくさは同じではない
男女に同じ教育機会を設けても、制服・更衣等の区分が本人の学校参加を妨げる場合がある。学校が行うのは診断ではなく、困難と希望を聴き、利用できる条件を整えることである。支援例を共有しても一律の対応にはせず、本人の意向と学校の状況に即して方法を選ぶ。
出典:文部科学省、2015年4月30日通知。文部科学省
追加確認資料:文科省2015年4月30日通知(経緯・支援体制)
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アウティングと相談:支援に必要な情報共有を考える
現在地|Ⅲ 性の多様性
カミングアウトは、本人が自分の性的指向や性別認識等を他者に伝えることを指す。アウティングは、本人の同意なく、それらを第三者に明らかにすることを指す。
本講座作成・仮想事例
担任にだけ相談した生徒について、担任が支援を広げようと考え、本人への説明をしないまま、学年全体の教員と保護者に事情を伝えようとしている。
解説メモ|共有の目的と範囲を、本人への影響から検討する
支援に向けて情報を共有する際には、誰に、何を、何のために伝えるかを本人と確認する。その後、本人が教室や家庭でどのように過ごすことになるかも、共有範囲を考えるうえで重要である。安全確保のために対応が必要な場合にも、可能な限り理由と範囲を説明し、必要以上に情報を広げないことが、組織的な支援とプライバシーの尊重を両立させる。
出典:2026年理解増進基本計画のプライバシー・アウティングに関する説明、2015年通知。内閣府
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2023年理解増進法と、2026年の基本計画
現在地|Ⅲ 性の多様性
2023年、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」が成立した。
同法に基づく「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する基本的な計画」は、2026年6月16日に閣議決定された。
学校教育に関わる方向
心身の発達に応じた教育・啓発を進めるとともに、教職員等への情報提供・研修、教育環境に関する相談体制、家庭・地域との連携を充実させる。
解説メモ|法律の役割と、計画を学校で具体化する過程
法律は理解増進の理念や各主体の役割を定め、基本計画は施策の方向を示す。学校では、これらを踏まえて教育内容や相談体制を具体化することになるため、計画の決定と、全国で同一の教材・対応が導入されることは区別する。また、この法律は、あらゆる差別について個別の救済手続や制裁を定める包括的な差別禁止法とは、制度上の役割が異なる。
出典:内閣府、理解増進基本計画。内閣府
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学校のルールを、必要と目的から見直す
現在地|Ⅲ 性の多様性
本講座作成・仮想事例
制服、名簿、更衣の運用を見直す学校で、性別区分を廃止するか、従来の形を維持するかが議論されている。具体的な方法を考えるには、各ルールの目的と、利用する生徒が抱える必要を確かめることが求められる。
項目/検討すること
解説メモ|全体の運用改善と、個別相談を組み合わせる
誰もが制服を選べるようにすると、選択のたびに個別の事情を説明する負担を減らせる可能性がある。そのうえで、共通の選択肢では対応できない必要については、個別に相談できる仕組みを用意する。ルールが何を保障するためにあるかを明確にし、日常の運用と相談を結びつけることで、学校生活への参加とプライバシーをともに支えられる。
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制服
選択できる種類、費用、安全性、申出の負担
名簿・呼称
事務上必要な情報と、日常的な呼び方
更衣等
本人の希望、他者のプライバシー、利用可能な場所
周囲への説明
特定個人の事情を明らかにせず、共通の方針を説明できるか

Ⅳ セクシュアリティ教育
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包括的セクシュアリティ教育:身体・関係・権利を学ぶ
現在地|Ⅳ セクシュアリティ教育
個別の相談への対応に加え、すべての生徒が身体や関係、権利について学ぶ内容を考える。本人の開示を求めずに学べる授業条件も含めて検討する。
包括的セクシュアリティ教育(Comprehensive Sexuality Education:CSE)は、性に関する認知的、情緒的、身体的、社会的な側面を扱う、教育課程に基づく学習の過程である。
科学的な正確さ、年齢・発達への適合、人権、ジェンダー平等を重視し、健康を守り、尊重ある関係を築き、判断や支援の利用に必要な知識・技能・態度を育てる。
解説メモ|なぜ、身体の知識を権利や人間関係と結ぶのか
HIVや性感染症、意図しない妊娠、ジェンダーに基づく暴力への対応では、知識があっても、断れない関係や差別、相談先の不足によって健康と安全を守りにくいことがある。UNESCOと国連の関係機関は2009年の国際ガイダンスを2018年に改訂し、人権・ジェンダー平等を明確に据え、情報環境の変化も踏まえて内容を整理した。CSEは、正確な情報を、意思決定、尊重ある関係、支援の利用へつなぐ教育として理解する。
出典:UNESCOほか『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』改訂版、2018年。WHO
International technical guidance on sexuality education (2018), Introduction §§1.1–1.3:UNAIDS
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UNESCOガイダンスの八つの領域
現在地|Ⅳ セクシュアリティ教育
領域/学習内容の例
1 人間関係 家族、友情、尊重、関係の多様性
2 価値・権利・文化 価値判断、人権、文化と性の関係
3 ジェンダーの理解 規範、平等、性別に基づく力関係
4 暴力と安全 同意、身体の境界、暴力への対応
5 健康と幸福のための技能 意思決定、意思疎通、支援を求めること
6 身体と発達 身体、思春期、身体への理解
7 セクシュアリティと行動 性に関する意味づけ、行動、責任
8 性と生殖に関する健康 健康管理、予防、適切な情報と支援
解説メモ|一つの学習場面に、複数の領域が関わる
月経について学ぶときには、身体の変化とともに、用品の入手、相談、からかい、学校活動への参加が問題となる。同意の学習にも、意思の伝え方、相手との力関係、断っても不利益を受けない条件が関わる。八つの領域は、それぞれの内容を区別したうえで、一つの場面にどのように結びつくかを説明すると、教育の全体像を理解しやすい。
出典:2018年ガイダンスの八領域。学習例は本講座の整理。留学生のための日本教育学入門ー基礎知識から最新動向へWHO
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発達に応じた学習:身近な経験から理解を広げる
現在地|Ⅳ セクシュアリティ教育
2018年ガイダンスは、5〜8歳、9〜12歳、12〜15歳、15〜18歳以上という年齢帯を示し、それぞれの発達に応じて学習を構成している。
幼い時期には、身体、感情、尊重、安心できる関係、助けを求めることなどを扱い、成長とともに、より複雑な人間関係や健康上の判断へと学習を広げる。
解説メモ|学習者の年齢と、教育の内容・実施条件を対応させる
WHOの2026年の整理でも、低年齢段階では、身体や感情、家族、尊重などを学ぶことが示されている。また、質の高いCSEが性行動の開始を早めるという見方は、証拠によって支持されていないとされる。教育の効果を考える際には、こうした知見を踏まえ、扱う内容、指導の質、安心して学べる環境を確かめる必要があり、教材を導入した事実と学習の成果を区別して捉える。
出典:WHO(2026年3月11日), Comprehensive sexuality education。WHO
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日本の学校では、どこで何を学ぶか
現在地|Ⅳ セクシュアリティ教育
日本の学校教育では、性に関する学習が複数の教科・活動に位置づけられている。
主な領域
関係する内容
体育・保健体育
発育・発達、心身の健康、生殖や疾病予防等
理科
生命や生殖に関する科学的理解
家庭科
家族、生活、ケア、生活設計
道徳・公民等
尊重、権利、社会的な関係
特別活動・教育相談
人間関係、学校生活、個別の相談と支援
解説メモ|各教科の専門性を生かし、学習内容をつなぐ
複数の教科で扱うことで、身体、生活、権利などを、それぞれの専門性から学べる。担当者間で内容を確認し、誰がいつ何を扱い、相談や支援にどうつなぐかを整理すると、重複や抜けを把握しやすくなる。日本の教育課程は、このような教科・活動への位置づけから説明し、CSEという名称の全国共通の独立教科が設けられていると理解しないようにする。
出典:基礎教材の教科横断的連携に関する整理、文部科学省の性に関する指導についての説明。留学生のための日本教育学入門ー基礎知識から最新動向へ文部科学省
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学習指導要領の規定と、個別指導の関係
現在地|Ⅳ セクシュアリティ教育
性に関する内容には、学習指導要領上の取扱いの規定がある。例えば、小学校理科では受精に至る過程、中学校保健体育では妊娠の経過について、取り扱わない旨が示されている。
文部科学省は2025年6月13日の説明で、中学校の当該規定を、関連事項すべての指導を一律に禁じる趣旨と捉えることを否定し、生徒の状況等を踏まえた個別指導の必要性にも言及した。
解説メモ|授業で共通に扱う内容と、個別の必要への対応
一斉授業、個別の相談、生徒の必要に応じた指導では、対象とする状況や検討事項が異なる。学校全体で指導方針を共有し、保護者との関係や専門家との連携を踏まえながら、必要な教育と支援を考えることになる。2025年の説明後も現行規定は継続しているため、規定が定める範囲と、実際の相談・指導で求められる対応をあわせて理解する。
出典:文部科学省、2025年6月13日会見。文部科学省
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学習指導要領の規定と、個別指導の関係(概念の区別)
現在地|Ⅳ セクシュアリティ教育
出典:文部科学省、2025年6月13日会見。文部科学省
ここまでの概念を区別する
仮想事例を一つ選び、「規範が日常の相互行為で維持される仕組み(Doing Gender)」「明示的な目標以外に学校生活から学ばれること(隠れたカリキュラム)」「本人が選択肢をどう評価するか(期待・価値)」のうち、どの問いに答える概念かを示す。三概念を同義語として並べず、説明対象の違いを一文ずつ記す。
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2026年改訂「生命の安全教育」
現在地|Ⅳ セクシュアリティ教育
文部科学省は2026年3月、「生命の安全教育」の教材と指導の手引きを拡充・改訂した。
改訂の主な内容
2023年の刑法改正等を踏まえ、性的同意について学ぶ内容を盛り込んだ。実施校の意見も反映して教材を改善し、学校段階に応じた取組を支えることを目指している。
「生命の安全教育」は、性暴力を予防し、自分や他者の尊厳を守る教育を進めるための取組である。
解説メモ|教材が担う範囲と、他の学習とのつながりを確かめる
「生命の安全教育」は、CSEの八領域のうち、特に暴力の予防や安全に関わる学習として位置づけられる。学校全体では、身体と健康、ジェンダー、人間関係、生活設計等の内容とも接続を考える必要がある。性暴力の防止を扱う際には、被害を防げなかった本人に責任を負わせず、加害を行わないことや、周囲の人・大人が適切に対応する責任を含めて学ぶ。
出典:文部科学省「性犯罪・性暴力対策の強化について」、2026年3月改訂教材の説明。文部科学省
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同意を学ぶ:意思を確かめ、断れる関係をつくる
現在地|Ⅳ セクシュアリティ教育
同意の学習では、自分の意思を理解して表すことと、相手の意思を確かめ、尊重することを関連づける。
本講で押さえること
同意は、行為ごと、その時点ごとに確かめる必要がある。別の行為や以前の同意を、そのまま現在の同意とみなすことはできず、沈黙や抵抗がないことだけでも、自由な意思による同意とは判断できない。
解説メモ|同意と安全を、対面・オンラインの両方で学ぶ
年齢や立場、仲間との関係によって、断りにくさは変わる。相手の沈黙を承諾とせず、意思を確認できないときは先へ進めない。写真の撮影への同意は、SNSへの投稿や他者への転送の同意を意味しない。性に関する動画・広告・投稿は、情報源と表現の偏りを確かめ、現実の身体や関係の基準として無批判に受け取らない。画像の要求や拡散、脅し等で困ったときは、本人を責めず、養護教諭・相談担当者等につなぐ。授業は仮想事例を用い、個人の経験の開示を求めない。
出典:2026年改訂「生命の安全教育」、WHOのCSE整理。文部科学省「生命の安全教育」2026年3月改訂/UNESCO等・2018年国際ガイダンス:UNAIDS
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月経教育:身体の理解と学校参加をつなぐ
現在地|Ⅳ セクシュアリティ教育
月経教育では、身体の仕組みや健康に関する情報を、用品の利用、相談、周囲の理解、学校活動に参加できる環境と関連づけて学ぶ。
月経の経験や負担には個人差があり、女性であっても月経のない人や、女性と自認していない月経経験者もいる。
学校で検討すること
必要なときに用品を入手し、清潔で安心して使える設備があるかを確かめる。体調について相談できることと、からかいや不必要な個人情報の開示が生じないことも、参加を支える条件となる。
解説メモ|用品や情報を、実際に利用できるようにする
用品について知っていても、購入費や保管場所、入手する際の心理的な負担によって、必要なときに使えない場合がある。学校では、用品の提供に、利用方法の説明、プライバシーへの配慮、相談への接続を組み合わせることができる。月経教育は、経験する人が体調や生活を管理するための学習とともに、他者の身体と生活を尊重する共通の教育として考えられる。
出典:WHO(2022)月経の健康と権利に関する声明、基礎教材「月経教育」。WHO留学生のための日本教育学入門ー基礎知識から最新動向へ
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安心して学べる授業:内容と方法を一緒に設計する
現在地|Ⅳ セクシュアリティ教育
本講座作成・授業設計例
学習上の必要/用意する方法
解説メモ|個人の経験を開示せずに、学習成果を示せるようにする
性の多様性についての理解は、概念を説明し、仮想事例の問題点を捉え、尊重と安全を支える対応を考える課題から確かめられる。本人の性的指向や経験を発表させることは、こうした学習のために必要ではない。授業で共通に学ぶ内容と、個別の支援で扱う情報の範囲を分けることが、安心して参加できる教育を支える。
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質問しにくい
匿名質問、授業後の相談経路
自分の経験を話したくない
仮想事例、回答を控えられる課題
用語や情報を理解しにくい
平易な説明、図、理解を確認する時間
学習内容に不安がある
事前の内容説明、個別相談、別の参加方法
支援が必要になった
養護教諭、相談担当者、適切な外部機関との連携

研究関心を、学校文化と権利の問題へ深める
現在地|Ⅳ セクシュアリティ教育
関心/具体化できる研究課題
理工系への進路選択
経験機会と周囲の期待が、成功への見通しや学ぶ価値をどう形成するか
学級活動
役割分担と行動への評価を通して、どのジェンダー規範が維持・変更されるか
SOGIと学校生活
個別相談が、ルールや組織的な支援の変更にどうつながるか
性教育
教科間の分担のなかで、身体・関係・権利の学習がどう結びつくか
月経と教育
用品・情報・相談の利用条件が、学校生活への参加とどう関わるか
解説メモ|学校のどの経験や仕組みを検討するかを定める
ジェンダーに関する偏見への関心は、面談での助言、授業中の役割、進路情報の提供などを取り上げることで、学校での具体的な研究課題となる。性教育についても、各教科で何を学び、どの場で相談を受け止めるかを調べられる。本人の理解や希望を、教材、組織、利用できる資源との関係から捉えると、教育上の変更を検討する対象が明確になる。
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本講の知識を、一つの説明につなぐ
現在地|Ⅳ セクシュアリティ教育
本講の中心となる関係
性別に結びつく期待
→学校で経験する役割・評価・教材
→自己理解、人間関係、進路の見通し
→参加と権利を支える教育・制度。
説明に用いる概念
何を明らかにするか
社会化・Doing Gender
規範が日常の関係で形成・維持される過程
隠れたカリキュラム
明示された目標とは別に学ばれる価値
期待・価値理論
経験と、将来への期待・価値・コストの関係
SOGI
性的指向と性別認識の違い
CSE
身体・関係・健康・権利を関連づける教育
解説メモ|共通の学習と個別支援が担う役割
共通の授業は、性別規範や権利について全員が学び、学校生活の前提を考える機会となる。個別支援では、本人が現在直面する困難を把握し、必要な対応を検討する。双方を結びつけることで、目の前の困難に応じながら、同じ困難を生み得る教材や慣行も見直せる。学校全体の学習と、一人ひとりの生活を支える仕組みを組み合わせることが、本講で考える教育の課題である。
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演習・規範の分析・論述
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複数選択問題1:学校行事の役割分担を分析する
現在地|演習・規範の分析・論述
本講座作成・仮想事例
文化祭の準備では、男子が音響機器と全体進行、女子が装飾と参加者対応を担うことが多い。教師は本人の希望を尊重していると説明するが、それまでに経験してきた役割にも、同じ傾向が見られる。
適切な分析を二つ選びなさい。
A.本人が希望を表明しているため、学校での経験が選択に関わる可能性は、分析から除外できる。
B.これまでに経験した役割や、評価されてきた行動が、現在の希望とどう関わるかを検討できる。
C.性別ごとの担当人数が一致すれば、経験の内容や発言機会を検討する必要はない。
D.役割の割当てと、教師・仲間の反応を、Doing Genderの視点から捉えられる。
E.ジェンダーを検討する授業では、本人の希望より、男女同数の割当てを常に優先する。
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複数選択問題2:同じ成績、異なる進路希望
現在地|演習・規範の分析・論述
本講座作成・理論の適用
数学の成績が近い二人の生徒のうち、一人は工学の仕事に触れる機会が多く、進学後の生活も思い描ける。もう一人は、工学に関心はあるものの仕事内容をよく知らず、遠方への進学費用や、学部で孤立することを心配している。
期待・価値理論から説明できることをすべて選びなさい。
A.成績が近くても、成功への期待や学ぶ価値、負担の捉え方は異なり得る。
B.進路選択は数学の成績から十分に予測でき、生活上の条件は周辺的な事項である。
C.具体的な活動や情報提供を通して、本人が進路を比較・判断する材料を増やせる。
D.不安を持つ生徒には、教師が望む進路を先に決め、その理由を説明することが理論上必要である。
E.費用や所属についての不安を扱うことは、選択に関わるコストを具体化することになる。
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複数選択問題3:相談への対応を選ぶ
現在地|演習・規範の分析・論述
本講座作成・仮想材料
生徒が、性別に関する悩みと更衣の難しさを担任に相談した。本人は、クラスや家族に広く知られることを望んでいない。学校には複数の更衣場所があるが、その運用方法は決まっていない。
適切な対応を二つ選びなさい。
A.学校全体の理解を得るため、本人の事情を最初に学年集会で説明する。
B.診断名が確定するまでは、相談を受けても運用の検討を始めない。
C.困難が生じる場面と本人の希望を確認し、利用できる場所や時間を具体的に検討する。
D.支援に必要な共有先、内容、目的を本人と確認し、必要以上に情報を広げない。
E.プライバシーを守るため、担任は他の担当者に一切相談せず、自分だけで対応を完結させる。
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複数選択問題4:CSEと日本の教育制度
現在地|演習・規範の分析・論述
本講座作成・授業計画の検討
学校が2026年改訂「生命の安全教育」の教材を導入し、「これで包括的セクシュアリティ教育の全内容を実施した」と説明した。
適切な検討をすべて選びなさい。
A.性暴力の予防や同意を学ぶ意義を踏まえ、身体・健康・人間関係・ジェンダー等の学習との接続を確認する。
B.CSEは全国共通の独立教科であるため、すべての学校に同じ時間割が定められている。
C.CSEでは、年齢や発達にかかわらず、八領域の同じ内容を同じ深さで教える。
D.日本の教科・活動における内容の位置づけと、UNESCOの教育枠組みを区別して比較する。
E.学習指導要領の規定と、個別の必要に応じた指導を、学校の指導・支援体制のなかで検討する。
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複数選択問題5:月経用品の提供と学習参加
現在地|演習・規範の分析・論述
本講座作成・研究につながる事例
学校が保健室に月経用品を置いたが、利用者は少なかった。生徒からは、授業を抜ける理由を説明する負担、保健室までの距離、周囲に知られることへの不安が語られた。
本講の観点から適切な考察をすべて選びなさい。
A.利用者が少ないため、用品を必要とする生徒も少ないと確定できる。
B.利用には、用品の配置とともに、入手の手続、場所、時間、プライバシーが関わる。
C.本人の自己管理を重視するため、学校は入手時の負担や周囲の反応を扱わない。
D.用品の提供を、健康に関する情報、相談、からかいを防ぐ教育と関連づけられる。
E.支援を利用できる条件と、授業や学校活動への参加との関係を研究課題として考えられる。
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現在地|演習・規範の分析・論述
研究への接続
SOGIに関する学校研究では、相談しやすさや本人の心理を、校内の情報共有と運用の変更に結びつけて検討できる。誰に何を伝えるかがどう説明され、担当者が何を分担し、その対応によって本人の学校生活がどう変わるかをたどることで、個別相談を支える学校組織の働きを捉えられる。
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過去問A:学校教育に潜むジェンダー
現在地|演習・過去問・論述
北海道大学 令和6(2024)年度 大学院教育学院修士課程・第2次入学試験
教育社会学「問題2」からの原問抜粋
原巻の共通指示
以下の問題のすべてに答えなさい。
(250点満点)
原問
学校教育に潜むジェンダーについて説明し、教育が男女格差を生み出す仕組みについて論じなさい。
250点は原巻全体の配点であり、本問単独の配点ではない。未確認の字数・時間指定は加えない。
出典:保有過去問「北海道大学(令和6年度第2次募集).pdf」物理p.24。原問確認用(Google Drive)/広島工業大学
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現在地|演習・過去問・論述
設問の要求
① 学校教育にどのようなジェンダーが潜むかを説明する。
② それが男女格差につながる仕組みを論じる。事例の列挙だけで終えない。
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小論文B:専門発展・性教育と学校文化
現在地|演習・規範の分析・論述
ジェンダー研究・教育課程・学校教育志望者向け/80分/1,400〜1,600字
材料:本講座作成・仮想事例。
学校では、人権や性の多様性を学ぶ授業が行われている一方、日常の役割分担には性別による偏りがある。個別の支援を求める際には、本人が詳しい事情を複数の教員に説明する必要があり、性に関する学習を担当する保健、家庭科、特別活動の教員間でも、内容を確認する機会は少ない。
設問
(1)隠れたカリキュラムと包括的セクシュアリティ教育を説明し、材料に示された学校の課題を分析しなさい。
(2)授業内容、学校生活の運用、相談体制を関連づけた改善を提案しなさい。共通の学習を保障することと、本人のプライバシーや意思を尊重することの関係に言及すること。
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現在地|演習・規範の分析・論述
授業後は、Doing Gender、期待・価値理論、SOGI、CSEについて、それぞれ定義と学校場面の例を一組にして説明する。
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