
国際理解教育
自分の生活と世界の関係を、 平和・公正・持続可能性から考える
実学志教育学専門課程
講師:KIKI
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本講の中心問題: 自分の生活と世界は、どう結びついているか
本講座作成・仮想事例
普段着ている衣服を調べた生徒は、原料、生産、輸送、販売が複数の地域にまたがっていることを知った。安く購入できる理由を考えるうちに、働く人、企業、環境、消費者の関係を確かめる必要が生じた。
教育の名称
主に焦点を当てること
国際理解教育
国境や文化を越えた理解・協力・平和
開発教育
貧困、格差、開発と、自分たちの生活の関係
グローバル教育
地球規模の相互依存と複合的な課題
多文化教育
文化的多様性と教育的公正、学校改革
参考:原稿の概念整理。国際理解教育
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本講の中心問題: 自分の生活と世界は、どう結びついているか
これらの領域は、国内外にまたがる生活や課題を扱っており、対象が重なる部分も多い。
区別の目安:多文化教育は文化的多様性と教育的公正・学校改革、国際理解教育は平和・人権・国境を越えた理解と協力、開発教育は貧困・格差や開発と生活の関係、ESDは持続可能性、GCEDは世界的課題への知識・態度・参加を主に問う。実践は重なり得るため、名称だけで分類せず、学習目標を確かめる。
到達目標は、世界の問題を、自分の生活との関係から理解し、知識、価値判断、他者との協力、行動の条件を関連づけて論じられるようになることである。
参考:原稿の概念整理。国際理解教育
学ぶ順序:Ⅰ 平和・人権・相互依存 → Ⅱ 学習目標と教育の枠組み → Ⅲ 授業・学校運営・評価 → Ⅳ 国際的方針と実施の確認 → 自分で説明する。
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Ⅰ 平和・人権・相互依存
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UNESCOの国際理解教育:平和と人権を基盤にする
現在地|Ⅰ 平和・人権・相互依存
年/主な節目
1974年勧告には、平和、人権、相互依存、文化への理解、社会的な課題に対する責任が既に含まれていた。文部科学省
解説メモ|戦争を支えた不信と差別に、教育から向き合う
第二次世界大戦後のUNESCO憲章は、他者の生活への無知や偏見、人間の尊厳と平等の否定が戦争を可能にしたと捉えた。政府間の政治・経済上の合意に加え、教育・科学・文化を通じた相互理解が、持続する平和に必要だとしたのである。ユネスコスクールは、この理念を学校で試み、経験を共有する仕組みとなった。年表を、戦争への反省→平和を築く教育理念→学校ネットワーク→政策勧告という関係として理解する。
出典:文部科学省/UNESCO Constitution, Preamble and Article I
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1945年
UNESCO憲章の採択
1953年
ユネスコスクールの事業開始。日本も参加
1974年
国際理解・国際協力・国際平和、人権・基本的自由に関する教育勧告
2023年
グローバル・シチズンシップ、持続可能な開発等も明示した新勧告

日本の政策:国際社会に関わる人間像
現在地|Ⅰ 平和・人権・相互依存
日本の国際的な地位が高まり、摩擦や緊張も生じるなか、1974年答申は、政治・経済に偏った交流を教育・学術・文化へ広げる必要を示した。その後の国際化と相互依存の深まりは、外国語、自国文化、異文化理解を学校で学ぶ課題にもつながった。
時期/政策・教育課程上の動き
解説メモ|交流する力を、世界との関係を考える学習へ
外国語で意思を伝え、異なる文化の人と課題を考えるには、各教科の知識を現実の関係に結ぶ必要がある。総合的な学習の時間では、国際理解等を教科横断的に扱える。ただし、交流の拡大だけで平等な協力になるとは限らない。次頁では利益・負担・発言力を問い、「グローバル人材」と「グローバル市民」も目指す能力と関わり方から比較する。
出典:国立国会図書館サーチ/文科省『学制百二十年史』国際交流推進のための枠組みの整備/文科省『学制百二十年史』国際化への対応
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1974年5月27日
中央教育審議会「教育・学術・文化における国際交流について」答申
1989年改訂
自国の文化・伝統の尊重と国際理解を重視
1998・1999年改訂
総合的な学習の時間を設け、国際理解等を横断的課題として例示
2002・2003年度以降
小・中学校、高等学校で総合的な学習の時間を順次全面実施

相互依存:つながりのなかで、利益と責任を考える
現在地|Ⅰ 平和・人権・相互依存
相互依存は、ある地域や主体の選択が、別の地域や主体に影響し合う関係を指す。その関係に参加する主体のあいだでは、得られる利益や発言力に違いがある。
本講座作成・衣服をめぐる分析
関係/問うこと
解説メモ|自分の行動を、他の主体の権限と関連づける
消費者が買い方を考えることは一つの参加方法であり、価格設定、労働条件、規制等の変更には、企業や政府、労働者も関わる。自分の生活との接点を見つけた後、それぞれが何を決め、どの責任を担うかを区別すると、個人の選択を制度や取引関係の改善にどう結びつけるかを考えられる。
本頁は、原稿の相互依存の視点を用いた分析例。国際理解教育
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生産と消費
誰の需要に応じて、誰が生産するか
価格と労働
低価格や納期に伴う負担を誰が引き受けるか
資源と環境
水、土地、エネルギーの利用が、どこに影響するか
意思決定
企業、政府、労働者、消費者は、それぞれ何を変更できるか

ガルトゥング:平和を支える社会的な条件
現在地|Ⅰ 平和・人権・相互依存
ヨハン・ガルトゥングは、直接的な暴力の不在に関わる消極的平和と、社会的公正や構造的暴力の克服に関わる積極的平和を区別した。
構造的暴力は、社会の仕組みによって、人々の生存や発達の可能性が、回避できるにもかかわらず制約される問題を捉える概念である。特定の加害者による直接の行為とは、異なる形で生じる制約に注目する。Sage Journals
解説メモ|誰のどの可能性が、何によって制約されるか
この区別からは、戦争や暴力の歴史を、差別や食料、医療、教育へのアクセスとも関連づけて考えられる。構造的暴力を用いて分析する際には、制度や資源配分のどの部分が、誰の生存や発達を妨げているかを具体的に示すことが必要になる。あらゆる不満や違いを同じ意味で「暴力」と呼ぶことを避け、平和を支える社会条件を明らかにする。
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開発教育と潜在能力:資源を、実際に選べる生活につなぐ
現在地|Ⅰ 平和・人権・相互依存
二つの問いを区別する
教育開発は、学校、教員、教育財政、言語、学習環境等を整え、教育を受けられる条件を広げる政策・協力である。開発教育は、貧困や格差、開発のあり方を、歴史・制度・自分たちの生活との関係から学ぶ教育である。
何を開発の成果とするか
教育は、生産性や所得を高める投資としても重視されてきた。一方、UNDPの1990年『人間開発報告』は、所得だけでなく、人々が健康に生き、学び、価値ある生活を選べる可能性を開発の中心に置いた。センの潜在能力アプローチも、資源の量と、実際に選べる生き方を区別する。
出典:UNDP人間開発報告/UNDP, Human Development Report 1990
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開発教育と潜在能力:資源を、実際に選べる生活につなぐ
現在地|Ⅰ 平和・人権・相互依存
本講座作成・教育支援の例
教科書を配っても、授業言語が分からない、通学が危険、家族のケアで時間がない場合、学ぶ機会は十分に広がらない。
解説メモ|資源を、本人が利用できる条件まで追う
支援の評価では、配布数・所得とともに、学習や将来の選択がどう広がったかを確かめる。教育の経済的効果と人権的価値は両立し得る。この視点は教育支援を評価する手がかりであり、国際理解教育の成立史そのものを説明する理論ではない。
出典:UNDP人間開発報告/UNDP, Human Development Report 1990
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Ⅱ 学習目標と 教育の枠組み
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SDG 4.7:関連する学習を教育制度に位置づける
現在地|Ⅱ 学習目標と教育の枠組み
教育を国際的な共通課題にする
1990年ジョムティエン会議:万人のための教育(EFA)を掲げ、子ども・若者・成人の基礎的な学習ニーズに応えることを確認した。
2000年ダカール会議:EFAの達成を再確認し、2015年を目指す六つの目標を示した。
2015年SDGs:目標4に、包摂的で公正な質の高い教育と、生涯学習の機会を位置づけた。質と公正はEFAにも含まれ、SDGsで初めて登場したわけではない。
出典:国連SDGs/国連SDG指標4.7.1(公式メタデータ)/UNESCO, Education for All: halfway there/World Bank, Education sector strategy update(EFA共同主催の記述)/ESCAP, Contributions of multilateral and bilateral agencies toward achieving EFA goals (2000)
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SDG 4.7:関連する学習を教育制度に位置づける
現在地|Ⅱ 学習目標と教育の枠組み
4.7で、何を学ぶか
持続可能な開発、人権、ジェンダー平等、平和・非暴力、グローバル・シティズンシップ、文化的多様性等を扱う。
指標4.7.1
指標4.7.1は、関連する教育の、教育政策・カリキュラム・教員教育・生徒評価への組込みを捉える。
解説メモ|国際合意を、予算・教員・授業へつなぐ
EFAはUNESCO、UNICEF、UNDP、世界銀行等が協力して進めた。教育を具体化する中心は各国政府であり、学校・地域の参加も必要になる。合意した目標が、予算、教員養成、教材、評価にどう届くかを調べる。制度への記載と、生徒が実際に学んだ成果は区別する。
出典:国連SDGs/国連SDG指標4.7.1(公式メタデータ)/UNESCO, Education for All: halfway there/World Bank, Education sector strategy update(EFA共同主催の記述)/ESCAP, Contributions of multilateral and bilateral agencies toward achieving EFA goals (2000)
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ESD:環境・社会・経済を関連づける教育
現在地|Ⅱ 学習目標と教育の枠組み
持続可能な開発のための教育(ESD)は、持続可能な社会の実現に必要な知識、技能、価値観、態度等を育て、判断や行動につなぐ教育である。
国際的な枠組み/期間
ESDの背景には、環境保全と経済・社会の発展を切り離して考えることの限界がある。2002年のヨハネスブルグ・サミットでの日本の提案を受け、国連は「ESDの10年」を決議し、UNESCOが主導機関となった。持続可能性を実現するには、制度や技術の変更に加え、人々がその関係を理解し、判断・協働する学びが必要だと考えられたのである。
解説メモ|複数の価値と条件を踏まえて、対応を判断する
森林利用には、生態系、地域の仕事、暮らし、将来世代の利益が関わる。授業では、それぞれの必要と制約を知り、ある選択が誰にどのような影響を与えるかを比較できる。環境によいとされる行動への一律な参加を求めることと区別し、知識に基づいて判断し、他者と協議する学習として組み立てることが重要になる。
出典:文部科学省/文部科学省・ESDの更なる推進に向けて(分科会報告書素案)/文部科学省・ESDについて
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国連「持続可能な開発のための教育の10年」
2005〜2014年
グローバル・アクション・プログラム
2015〜2019年
ESD for 2030
2020〜2030年

ESDの六つの構成概念と、七つの能力・態度
現在地|Ⅱ 学習目標と教育の枠組み
国立教育政策研究所は、授業を構想するための例として、次の枠組みを示した。
持続可能な社会づくりの構成概念/問うこと
重視する能力・態度
批判的に考える力/未来像を予測して計画を立てる力/多面的・総合的に考える力/コミュニケーションを行う力/他者と協力する態度/つながりを尊重する態度/進んで参加する態度。
解説メモ|対象を捉える概念と、学習者が用いる力
「有限性」は、資源等の制約を理解する視点であり、「未来像を予測して計画を立てる力」は、その理解を用いて考える学習者の力を指す。両者を区別すると、題材のどの関係を捉え、どの活動を通して考えるかを対応させやすい。この一覧は授業設計の例示であり、題材や目標に即して重点を選び、必要な項目を関連づけて用いる。
出典:国立教育政策研究所、ESDの学習指導過程に関するリーフレット。国立教育政策研究所
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多様性・相互性・有限性
どのような違い、関係、限界があるか
公平性・連携性・責任性
誰を尊重し、誰と協力し、何を担うか

GCED:知識・関係・行動をつなぐ
現在地|Ⅱ 学習目標と教育の枠組み
グローバル・シティズンシップ教育(GCED)は、人類共通の課題と多様性を理解し、より平和で公正な社会に関わる力を育てる教育である。ここでの市民性は、世界共通の国籍や選挙権という法的な資格とは区別される。
三つの領域/内容
解説メモ|ESDとGCEDが重なる課題を、それぞれの焦点から読む
ESDは持続可能性を、GCEDは平和、公正、人権、市民としての関わりを中心的な問題意識としている。気候変動と不平等、消費と労働などの学習では、両者の関心が重なる。何を中心に取り上げ、知識、価値判断、行動をどう関連づけるかを説明すると、共通性を捉えながら、それぞれの教育の特徴も示せる。
出典:UNESCO、GCEDの学習領域・学習目標。UNESCO Digital Library
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認知的
地域・国家・世界の課題と相互依存を理解する
社会情動的
共通の人間性、他者への尊重、共感や連帯を育てる
行動的
責任をもって行動し、協働や社会参加に関わる

GCED:知識・関係・行動をつなぐ
現在地|Ⅱ 学習目標と教育の枠組み
出典:UNESCO、GCEDの学習領域・学習目標。UNESCO Digital Library
二つの枠組みを使い分ける
衣服の生産・消費を題材に、まずESDから環境・経済・社会の持続可能性を問い、次にGCEDから権利・責任・協働への参加を問う。同じ事例でも、中心の問いがどう変わるかを一文ずつ書き、両者を単純な別科目として扱わない。
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アンドレオッティ:援助する側の前提を問い直す
現在地|Ⅱ 学習目標と教育の枠組み
アンドレオッティ(2006)は、グローバル・シティズンシップ教育の「ソフト」な方向と「批判的」な方向を比較した。
観点
ソフトな方向
批判的な方向
問題の理解
困っている人の不足に注目する
不平等を生む歴史・制度・権力も検討する
自分の位置
支援を提供する人として捉える
問題に関わる関係の一部としても捉える
行動
援助・寄付等
対話、関係の見直し、制度への働きかけ等
解説メモ|相手の希望と、自分たちの関わり方を検討する
寄付や交流を通して生まれた関心を、誰が問題を定義し、相手が何を望み、自分たちの生活がどう関わるかという問いへ広げられる。批判的な学習の焦点は、相手の考えや資料に触れながら、自分の判断を確かめ直すことにある。善意そのものを退けることを目的には置かない。罪悪感を抱かせたり、教師の結論への同意を求めたりする活動とは、学習者の判断を置く位置が異なる。
出典:Andreotti(2006), “Soft versus critical global citizenship education”。Development Education Review
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Ⅲ 授業・学校運営・評価
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衣服を題材に、生活から社会の仕組みへ問いをつなぐ
現在地|Ⅲ 授業・学校運営・評価
枠組みの名称を覚えたあと、衣服の生産・消費という一つの題材で授業を組み立てる。知識、価値判断、行動をどの順に結びつけるかを考える。
本講座作成・単元構想
学習の段階/内容
解説メモ|選んだ行動が、誰にどう作用するかを確かめる
「安い服を買わない」という案が出た場合には、所得や選べる商品の違い、生産者への影響を調べられる。個人の購入、企業の調達、制度の変更では、作用する範囲と実施の条件が異なるため、それぞれを比較することが必要になる。どの対応を選び、その根拠と限界をどう理解したかを説明することが、この単元の学習成果となる。
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生活から問いをつくる
価格、購入頻度、素材、生産地を確かめる
関係を調べる
生産、労働、流通、販売、廃棄に関わる主体を整理する
立場を比較する
労働者、企業、消費者、地域住民の必要を考える
選択肢を検討する
購入、修理、回収、企業への質問、学校調達等を比較する
判断を振り返る
新しい情報を得て、どの見方を変更したかを説明する

価値が対立する課題を、根拠に基づいて考える
現在地|Ⅲ 授業・学校運営・評価
国際的な課題には、権利、安全、雇用、環境、経済的負担など、複数の価値が関わる。授業では、事実を確かめる問いと、何を重視するかという価値判断を区別しながら、対応を検討する。
本講座作成・発問例
「この対策で、誰の負担が増えるか」
「別の選択肢では何が変わるか」
「その判断を支える資料は何か」
「当事者が発言できる仕組みはあるか」
解説メモ|教師が用意する知識と、学習者が行う判断
異なる意見を比較するには、根拠の確かさ、人権への影響、実現の条件を検討する知識が必要になる。教師は、資料や説明を用意し、事実の誤りを確かめ、少数意見も表現できる場を整える。そのうえで、学習者が何を根拠に判断を組み立てたかを捉えることが、自律的な判断を支える授業と評価につながる。
本講座による授業設計上の整理。
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ホールスクール・アプローチ:学校の日常を学習につなぐ
現在地|Ⅲ 授業・学校運営・評価
ESD等で重視されるホールスクール・アプローチは、授業、学校運営、施設、意思決定、地域との関係を含めて、学校全体を教育の場として捉える考え方である。
学校の領域/学習と結びつける例
解説メモ|学校の運営条件を共有し、変更を検討する
学校の運営には、予算、安全、仕事量等の制約がある。その条件を学習者と共有すれば、持続可能性について学んだことを、実際に何を変更できるかという検討に用いられる。提案、試行、理由の説明、振り返りを続ける仕組みを設けることで、授業と運営を結びつけ、学校の改善過程そのものを学習の機会にできる。
出典:UNESCOの2025年実施ガイド、ESDの学習環境に関する枠組み。UNESCO
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教育課程
教科の知識を、現実の課題の探究に用いる
施設・運営
エネルギー、廃棄、調達等を検討する
意思決定
生徒の提案を受け止め、判断の理由を説明する
地域・他校との関係
異なる経験や専門性を用いて、ともに考える

国際理解教育の評価:理解・判断・参加の経験を捉える
現在地|Ⅲ 授業・学校運営・評価
本講での評価の整理
評価する内容/確認する方法の例
解説メモ|行動できる条件を踏まえ、学んだ内容を確かめる
寄付や休日の活動には、家計、健康、移動、ケア等の条件が関わるため、その量を理解や市民性の評価に直結させると、生活条件による差を見落としやすい。調査、議論、情報発信、学校内の改善等、複数の参加方法を設け、何を理解し、どの根拠で関わったかを確かめることで、学習の内容に即した評価を行える。
本頁の評価表と例は、本講座による授業構想。
【教育学 KIKI 内部资料 版权保护】
知識・関係の理解
主体、利益、負担、相互依存を説明する
視点の広がり
資料や対話に触れる前後で、理解を比較する
判断
複数の選択肢について、根拠と影響を示す
参加
自分の役割、他者との協議、残る課題を振り返る

Ⅳ 国際的方針と実施の確認
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2023年UNESCO勧告:現代の課題を教育全体に位置づける
現在地|Ⅳ 国際的方針と実施の確認
2023年11月20日、UNESCOは、1974年勧告を改定する新たな教育勧告を採択した。
文部科学省の仮訳名は、「平和、人権、国際理解、協力、基本的自由、グローバル・シチズンシップ及び持続可能な開発のための教育に関する勧告」である。
差別、不平等、気候変動、暴力、デジタル環境等を視野に入れ、政策、教育課程、教授方法、学習環境、教員等に関する方向を示している。UNESCO
解説メモ|既存の原則を、変化した課題に具体化し直す
1974年にも平和・人権の教育はあった。2023年勧告は、気候危機、差別や憎悪表現、デジタル環境などが絡み合う状況に、その原則を具体化し直した。文化を知るだけでなく、情報を吟味し、異なる立場で協働して判断する学習が必要になる。そのため教材だけでなく、教員教育、学校環境、評価を含めて検討する。勧告の採択が日本の法令や学校の実施を自動的に変えるわけではない。
出典:UNESCO Recommendation on Education for Peace and Human Rights
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2025年実施ガイドと、2026年の報告サイクル
現在地|Ⅳ 国際的方針と実施の確認
UNESCOは2025年11月、2023年勧告の実施ガイドを公表した。2026年には、加盟国が実施状況を報告する最初のサイクルが進められている。UNESCO
段階/公表された日程
解説メモ|国際的な方針から、学校での学習までをたどる
勧告の採択を国内政策に位置づけ、教師の研修や授業を通して具体化する過程には、それぞれ異なる実施条件がある。比較研究では、政策への記載、実施状況、生徒の学習のうち、どの情報を用いているかを明確にする。実施報告は政策の具体化を知る資料として読み、学習への効果は、それを確かめる根拠に即して検討する。
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加盟国の報告提出
2026年6月〜11月15日
執行委員会による報告の検討
2027年10月
総会への報告
2027年11月
2026年10月1日時点では報告提出期間中であり、全体の実施成果を確定する段階には至っていない。提出期限は2026年11月15日とされている。UNESCO/国別報告の提出期限に関するUNESCO案内
この報告サイクルは加盟国による勧告実施状況の報告であり、児童生徒の学習成果を直接測定する調査ではない。政策への記載、実施過程、学習成果を主張する際は、それぞれに対応する資料を区別する。

研究関心を、世界との関係を学ぶ過程につなぐ
現在地|Ⅳ 国際的方針と実施の確認
関心/研究課題の例
解説メモ|交流後に、何の理解や判断が変わったか
知識が増えること、相手への態度が変わること、自分の生活との関係を理解することは、関連しながらも異なる変化である。研究では、どの経験を通して、何を説明できるようになり、判断の理由がどう変わったかを調べられる。交流やボランティアへの参加を起点に、学習として捉える内容を具体化することが重要になる。
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国際交流
国や文化へのイメージが、対話と共同活動を通してどう変わるか
開発教育
支援する側・される側という理解が、資料や当事者の語りからどう捉え直されるか
ESD
教科の知識が、地域の課題について判断する際にどう用いられるか
学校運営
生徒の提案が、調達や施設利用等の決定にどう関わるか
政策比較
国際勧告の内容が、各国の教育課程や教員教育にどう位置づけられるか

演習・学習目標の比較・論述
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複数選択問題1:国際交流の次の単元
現在地|演習・学習目標の比較・論述
本講座作成・授業案の選択
姉妹校とのオンライン交流で、食事、制服、休日の過ごし方を紹介した。次の単元では、互いの生活に関わる共通の課題を考えたい。
国際理解教育を深める案を二つ選びなさい。
A.両地域の通学や交通を調べ、環境、安全、費用を比較しながら意見を交わす。
B.相手校の一人の発言を、その国全体の文化の特徴としてまとめる。
C.交流を経験したため、相互理解は十分に達成されたと判断する。
D.相手の問題をこちらだけで定義し、支援内容を決めてから伝える。
E.文化紹介で分からなかったことを整理し、同じ地域内の多様な経験も調べる。
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複数選択問題2:教育支援の成果をどう捉えるか
現在地|演習・学習目標の比較・論述
本講座作成・開発教育の事例
地域に教材が配布されたが、一部の子どもは、言語の違い、通学上の危険、家族のケア等によって、その教材を利用しにくい状況にある。
潜在能力・人間開発の視点に合う考察をすべて選びなさい。
A.教材の数が同じであれば、実際に学ぶ自由も等しくなる。
B.教材を利用するための言語、時間、安全等の条件を検討する。
C.本人が何を学び、どのような生活を選べるようになったかを考える。
D.資源の提供と、その資源を用いて実現できることを区別する。
E.所得の増加を確認すれば、教育支援の価値を十分に評価できる。
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複数選択問題3:学習と学校運営をつなぐ
現在地|演習・学習目標の比較・論述
本講座作成・仮想材料
環境問題を学んだ生徒が、学校の物品調達について提案した。学校は意見を聴き、費用、安全、契約等の条件を説明したうえで、実施できる案を試すことにした。採用しない案についても、その理由を共有する予定である。
適切な説明を二つ選びなさい。
A.すべての提案が採用されない限り、生徒の参加に教育的意義はない。
B.授業の知識を、学校運営や意思決定に関連づける学習として捉えられる。
C.契約や費用の制約は生徒の学習と関係しないため、説明しない方がよい。
D.生徒の提案を受け止め、判断の理由を共有し、試行後に振り返ることが重要である。
E.生徒が参加するため、学校側は安全や予算に関する責任を持たなくてよい。
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複数選択問題4:政策の説明を修正する
現在地|演習・学習目標の比較・論述
本講座作成・正誤判断
次の説明のうち、不適切なものを二つ選びなさい。
A.1974年UNESCO勧告にも、平和、人権、国際協力に関する教育が含まれていた。
B.2023年勧告によって、国際理解教育に初めて平和と人権の目的が加えられた。
C.ESDとGCEDは重なり合うが、中心となる問題意識を区別して説明できる。
D.2026年の実施状況報告が始まったため、各国の児童生徒の学習成果は既に証明された。
E.教育政策、教育課程、教員教育、生徒評価への位置づけと、学習者の到達は分けて検討する。
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複数選択問題5:社会参加を成績評価でどう扱うか
現在地|演習・学習目標の比較・論述
本講座作成・評価設計
授業で国際協力を扱う学校が、寄付額と休日のボランティア参加回数を中心に成績を付けようとしている。
改善の方向として適切なものをすべて選びなさい。
A.家計、移動、ケア等による参加条件の違いを考慮する。
B.善意を数値化するため、寄付額を理解の深さと同じ指標として用いる。
C.課題の構造、異なる立場、行動の根拠を説明する学習を評価する。
D.批判的GCEDでは寄付に意義がないため、寄付を選んだ生徒を低く評価する。
E.調査、対話、情報発信、学校内での改善等、複数の関わり方を用意する。
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小論文A:教育学共通基礎・世界の課題を学校で学ぶ
現在地|演習・学習目標の比較・論述
本講座作成/60分/1,000〜1,200字
気候変動、貧困、紛争など、子ども個人や一つの学校だけでは解決できない課題を、学校で学ぶことにはどのような意義があるか。具体的な課題を一つ取り上げ、知識の習得、他者との関係、社会への参加を関連づけて論じなさい。
設問の中心
子どもが課題を理解し、対応を考え、他者と関われる学習を構想する。その際、大きな問題に触れることで生じる不安や、子どもが担える範囲にも配慮する。
個人の行動とともに、行政、企業、地域、国際的な組織等の役割を扱ってよい。課題の解決状況と、学習によって得られた理解や判断を区別して、教育の意義を説明すること。
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現在地|演習・学習目標の比較・論述
本講座の評価基準
教育的意義25/課題と生活の接続25/学習構想25/責任の整理15/日本語10。
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小論文B:専門発展・国際協力学習を再構成する
現在地|演習・学習目標の比較・論述
国際理解教育・開発教育・教育課程志望者向け/75分/1,300〜1,500字
材料:本講座作成・仮想事例。
海外の子どもを支援する学校が、現地の困難を示す写真を用いて寄付を募った。生徒は支援の必要性を感じたが、現地の人々の希望や、自分たちの生活・経済活動との関係を学ぶ機会は少なかった。活動後の振り返りでは、寄付の達成額と「助けてあげたい」という感想が中心となった。
設問
(1)アンドレオッティのソフト/批判的GCEDの区別を用い、この学習の意義と課題を分析しなさい。
(2)ESDまたはGCEDの枠組みを用いて、単元の改善を提案しなさい。相手の主体性、問題の構造、学習者の判断、評価方法に言及すること。
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現在地|演習・学習目標の比較・論述
授業後は、ESD、GCED、消極的平和・積極的平和、潜在能力の視点について、それぞれ具体的な教育課題を用いて説明する。
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